新聞「農民」
「農民」記事データベース20180903-1325-03

どうなる今年の米価

概算金は高めか?

 “市場任せ”をいっそう強める政府の米政策変更で、作柄などわずかな変化で米価が大きく変動する恐れが強まっています。端境期を迎えて需給の緩みと市場価格の下落が表面化しており、今年産の米価の動向が注目される下で、各地の農協などが農家支払いの概算金を示し始めました。


下落ストップへ必要な対策を

 概算金上昇も昨年の
 追加払いを加えると

 概算金は「昨年並み」「プラス300円、500円」等と新聞の見出しが躍り、「思ったより良いではないか」との声も聞かれます。確かに昨年の集荷が始まった時点での概算金との比較では前年にプラスですが、昨年秋は多くの産地が収穫量の不足や激しい集荷競争のもとで追加払いを実施していました。単位農協が独自に加算した例も少なくありません。これらを織り込んでの比較では実質昨年並み、または微増、中にはマイナスの事例もあります。(表参照)

 農家は今年から10アール7500円の固定払い廃止で、1俵(60キロ)850円程度の減収がすでに確定しています。米価が横ばいでもその分が実質減収であり、下落ともなれば更に大きな痛手となります。

 米業者からも
 下落は迷惑の声

 米業者からも「ようやく値上げが定着したところだ。いまさら下げたくないのが本音」「価格を上げるのには大変なエネルギーを費やす。今度下げたらもう上げられない」などの声も出されています。8月26日の「米屋さんと生産者をつなぐ交流会(大阪会場)」でも「大幅な上げも下げも困る」「安い米も欲しいが、全体が下がっては意味がない」「たいらが一番」などの声が聞かれました。

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ふるさとちばネットの米検査(8月24日、木更津市)

 備蓄米の追加的
 買入等の対策を

 今後、米どころの収穫が始まりますが、作柄や需給のわずかな変化で価格が大揺れする恐れがあります。政府はそんな事態を招くことがないよう対策をとるべきです。

 今年産の備蓄米の播種(はしゅ)前契約は20万トンの計画に対して、12万トンの成約で終了し、8万トン余りが主食に回ると思われます。予定価格の安さなどから産地が応札を手控えた結果です。今からでも追加的な買い入れを実施すべきです。こうしたことも含めて、限られた中でも可能な対策を取り、需給と価格の安定に政府は責任を果たすべきです。

(新聞「農民」2018.9.3付)
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