新聞「農民」
「農民」記事データベース20180903-1325-10

ふるさと
よもやま話

鳥取県農民連会長
今本 潔


大事なのは諦めないこと

 昔は原発建設に
 今は風力発電に

 鳥取県の気高(けたか)地方は、鳥取市の西の端です。山地が海まで迫るこの地で、私の農業は親が残した6反歩ばかりの米づくりです。

 いま気高地方の青谷地域で、発電業者による巨大風力発電の建設計画が持ち上がり、環境影響調査のステップ作業まで進めています。

 この計画は、原発ゼロ・再生可能エネルギーを求める住民に大きな不安を投げかけています。かつては、原子力発電の建設予定地として、次いで産業廃棄物置き場の対象地とされ、そして今の風力発電に加えて産廃最終処理場として業者が目をつけている地域です。

 今から40年ばかり前、原発の対象地になっていることが地元新聞で報道され、地元は大騒ぎ。「とんでもない」「絶対に納得できん」と、広域的に連帯した女性たちの署名活動を軸に、自治会の支えもあって行政も動きました。

 対象地を守ろうと、土地取得をめざした「一坪地主」運動は、この夏も共同作業でのさつまいも栽培が引き継がれています。20年ほど前の産廃対応のときも、自発的に住民が学習して運動グループを立ち上げ、地元自治会と連携して計画を断念させました。

 破壊的影響は
 想像以上のもの

 原発のことと産廃のこと、住民が前に立ちふさがった2つの問題での解決の体験は、貴重な教えを残しているように感じています。「あきらめないこと」。いざとなれば、鮮やかによみがえります。

 このたびの風力発電の計画は、標高250メートルの、海岸近くから中国山地方向に延びる里山の尾根伝いに、150メートル程度の大型風車を14基建ち並べて営業するものです。自然と住民にもたらす破壊的影響は想像以上のとてつもないものではと、地元のいくつかの集落が決議し、自主的な組織のあきらめない運動もあいまって行政への影響を強めつつあります。

 30周年めざし
 目標をもって

 前回の農民連定期大会(2017年)を前にして、県連体制を確立し、いま全国の最小県連を自覚しながら何とか活動をしています。

 8月4日には、米子市で笹渡義夫会長を講師に招き、ブックレット『農民連は何をめざし、どうたたかうか』の学習会を県連役員中心に行いました。

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笹渡会長を迎えて開かれた『ブックレット』学習会=8月4日、米子市

 22日には、島根県連会長の長谷川敏郎会長を講師に、米の学習会を開き、これを機に、米の準産直に取り組んでいきたいと考えています。

 「これからだ、これからだ」とつぶやきながら、先日は、県連総会を開き、来年の農民連結成30周年記念大会をめざす3つの力点も申し合わせました。目標をもって、会員と新聞「農民」読者拡大にがんばります。

(新聞「農民」2018.9.3付)
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