新聞「農民」
「農民」記事データベース20181001-1329-10

ふるさと
よもやま話

香川県農民連会長
大塚 久


古墳での地域おこしは
ロマンとの出会い

 香川県観音寺市大野原は、県の西部に位置し、西讃地方は、瀬戸内気候で雨量が少なく温暖なことが幸いして、耕作面積が小さくても多種多様な作物が栽培されています。

 雨量が少ないので、先人達はため池を造り、全国3番目に多いため池に多くの農家が助けられています。現代は、高知県の早明浦ダムからの飲料水と農業用水が広範囲に活用されています。

 出来秋には、地元神社の例大祭で豊作を祝い、老若男女が秋祭りを盛大に行ってきました。この大祭では昔から地域の人々が、先人達の築いてきた古墳を崇め、平塚(ひらづか)古墳の墳上には、みこしが鎮座し、「太鼓台」「ダンジリ」が1基ずつ、年順番で登り奉納されます。

 全国でも珍しい古墳も

 大野原古墳群は、(1)椀貸塚(わんかしづか)古墳、(2)平塚古墳、(3)角塚(かくづか)古墳の3墳で構成され、椀貸塚古墳は、6世紀の終わり頃造られました。石室は14・8メートル、玄室4×4メートル弱で四国地方では第一の大きさです。二重周濠(ごう)で、周堤付き古墳は全国でも珍しくなっています。

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大野原古墳群の角

 平塚古墳は、7世紀の初め頃造られました。墳の直径は50メートルで香川県では一番の円墳、石室は四国で2番目です。

 角塚古墳は、7世紀の625年から650年にかけて造られました。方墳が49メートルあり、香川県で最大級です。

 これらの古墳群は600メートル以内にあり、数十年間で三世代にわたって築造されたとみられ、当時の国造(こくぞう)級の人が葬られている巨石墳です。

 2015年10月7日に、国指定史跡となり、地元有志は、17年12月7日に記念イベント「大野原古墳まつり」を開催しました。当日は、多くの家族連れが訪れ、古墳巡りを満喫。普段は立ち入ることのできない石室内を見学し、限定販売の「古墳うどん」などを味わいました。

 今後は大野原古墳群保存会を設立して、保存や環境整備、活用のため、地域住民の参加を呼びかけています。

 県知事選挙をたたかって 

 8月26日に投開票された県知事選挙で、県農民連は、「明るい県政をきずく香川県連絡会議」の姫田英二氏=共産党推薦=を支持し、くらし・福祉などで県民主体の県政の実現を訴えましたが、得票数3万4814、得票率14・7%で現職の浜田恵造氏=自民、国民民主、公明、社民推薦=に及びませんでした。私達の組織の力不足を痛感しました。

 地方の首長選挙では、オール与党の流れが強いのですが、沖縄県のように、要求で県民が結束することが求められる時代となりました。

 来年のいっせい地方選挙、参議院選挙に向けて、野党の勝利のために、農民連の力をもっとつけていきたいと思います。

(新聞「農民」2018.10.1付)
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