新聞「農民」
「農民」記事データベース20181008-1330-05

メガFTA妥結の阻止を

全国共同行動
「反グローバリズム」シンポ開く

関連/日米共同声明(骨子)


 「TPPプラスを許さない!全国共同行動」は9月20日、東京・明治大学リバティータワーで、シンポジウム「グローバリズムは私たちを幸せにするか!? PART2」を開き、約150人が参加しました。

 根本から問い直し

 「TPPに反対する人々の運動」の山浦康明さんが開会あいさつ。6月にTPP(環太平洋連携協定)11の承認案と関連法が成立し、秋の臨時国会には日欧EPA(経済連携協定)の国内批准がねらわれるなど、多くの国との通商協定・メガFTA(自由貿易協定)が推進されようとしていることを指摘。「こうした動きを根本から問い直し、今後どうすべきかを一緒に考えよう」と呼びかけました。

 「オールジャパン平和と共生」運営委員の植草一秀さんが「『TPPプラス』熱烈推進安倍内閣のなぜ?」のテーマで講演。自民党が二枚舌を使ってTPPへの参加を決めた経緯を述べ、メガFTAに突き進む安倍内閣を批判しました。

 さらに、TPPが日本の対米従属政策の中に位置づけられ、食の安全の崩壊や、食料自給率の低下、農業の衰退がもたらされることを解説。「安倍政権を退陣に追い込もう」と訴えました。

 政府の監視が必要

 アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の内田聖子さんは「メガ自由貿易協定の現在」について述べ、所得分配のゆがみ、大企業の市場占有率の上昇、地域間格差の拡大などグローバル化の「負の側面」に加えて、「富の集中と再分配の機能不全を引き起こす」と語りました。

 さらに、TPP、日欧EPAなどのメガFTAについて解説し、(1)先進国と多国籍企業が求める「強者のルール」に参加国が合意できない(2)国内産業が空洞化し、貧困・格差の拡大など、メガFTAが容易に妥結できない要因をあげました。

 また、日本で必要なこととして、「政府を監視し、企業を適切に規制するメカニズム・手段の拡大と強化が必要だ」と語りました。

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報告する(右から)植草、内田、山田の各氏

 GM食品に警鐘

 「TPP協定でこれからの私達の生活はどう変わるか」と題して、元農林水産大臣で弁護士の山田正彦さんが報告。主要農作物種子法(種子法)が廃止され、主要穀物の種子がすべて民間会社に任されると、種子の価格が高騰するほか、「日本の米農家が種子企業に特許料を支払うことになるのではないか」と危惧を表明しました。

 種子法があったことで、日本の米、麦、大豆が守られてきたこと、アメリカ、カナダも主要穀物については公共品種、自家採取が主流であることを紹介しました。

 さらに、「いずれ日本も遺伝子組み換え(GM)稲を作付けするようになり、GM食品・作物の輸入・承認大国になるおそれがある」と警鐘を鳴らしました。

 参加者との質疑応答の後、パルシステム東京理事長の野々山理恵子さんが「これからも情報を共有し広げていこう」と呼びかけ、閉会しました。


日米共同声明(骨子)

 ▼日米間の安定的で互恵的な貿易・経済関係の重要性を確認。大統領は日本などとの貿易赤字を削減することの重要性を強調。
 ▼物品貿易協定(TAG)、また他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについて交渉を開始する(第1段階)。
 ▼TAGの議論完了後に、他の貿易・投資の事項ついても交渉を行う(第2段階)。
 ▼TAG交渉では以下の日米両国政府の立場を尊重する。
 ・農林水産品について、過去の経済連携協定(TPP)で約束した水準が限度であるとする日本の立場を米国が尊重。
 ・自動車について、交渉結果が自動車産業の製造および雇用の増加を目指すものであるとの米国の立場を日本が尊重。
 ▼協議が行われている間、共同声明の精神に反する行動は取らない。

(新聞「農民」2018.10.8付)
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