新聞「農民」
「農民」記事データベース20181022-1332-14

この秋、ネオニコチノイド系農薬の
検査運動を進めよう

2018年10月
農民運動全国連合会
農民連食品分析センター


安全・安心な農産物を求め、
情報を求める消費者の声に応えよう

 2018年産米の出荷が始まっています。

 消費者の皆さんから「農民連のお米はネオニコ系農薬を使っているのですか」などの問い合わせが届き始めています。新日本婦人の会との定期協議で、「分析センターで計測し、どの産直品でもネオニコ系農薬が不検出であることをアピールしたい」との要望も出されるなど、消費者のなかでネオニコ系農薬への強い関心と不安が高まっています。

 食品分析センターで安全性を確認しよう

 ネオニコチノイド系農薬は、従来の農薬よりも人体・環境への影響が少なく、残効性が長く良く効くなどと宣伝されていることから、広範囲な農産物に使用されるようになっています。

 しかし、ネオニコチノイド系農薬は、ミツバチの「蜂群崩壊」など生態系への影響や人体の神経系統への懸念からEU(欧州連合)委員会が18年4月に一部の使用禁止を発表しました。その後カナダでも使用禁止を検討する動きが始まるなど世界的に大きな問題になっています。

 日本では17年12月、日本弁護士連合会が、使用禁止と新規の認定を認めないことと、農産物規格規定の見直しを求める意見書を提出しました。

画像
分析センターでは、世界のワインの残留農薬を調査中です

 消費者の信頼は、栽培方法がわかり、農薬の残留量が確認できること

 農民連は、安全な農産物を生産するための努力を行うとともに、最小限度の農薬を散布せざるをえない実態も踏まえ、安全を担保するために農薬残留分析を行い、分析結果を明らかにする努力を呼びかけてきました。

 ネオニコチノイド系農薬の問題が、これだけ大きな話題になっている今、産直運動に取り組む農民連会員・産直組織が、率先して自ら生産した新米や農作物の農薬残留分析を行い、結果を消費者と共有しながら産直を大いに広げることが求められています。

 厳しい販売環境の中で、検査費用のねん出も大きな課題です。

 組織的な募金や、取引先への要請も含めて知恵を出し合い、できるだけ多く検査ができるよう工夫しましょう。

 組織内の検査運動を広げて食品分析センターを支えよう

 食品分析センターは、多くの実績を上げ、食の安全を守る砦(とりで)の役割を果たしてきました。

 食の安全をめぐっては、ネオニコチノイド系農薬の問題をはじめ除草剤グリホサートの発がん性をめぐる議論や、遺伝子組み換え食品の表示問題、ゲノム編集など新たな遺伝子組み換え技術、さらに、それら工業的農業に対抗したアグロエコロジーの取り組みが世界的に広がるなど、消費者の安全・安心の願いに応える農業のあり方をめぐる議論が世界的に広がっています。

 こうした議論を科学的に支える農民連食品分析センターの役割はますます高まっています。

 特に、今後増えることが予想される輸入食品の安全性のチェックは、ますます重要になります。

 しかし、分析センターの経営実態は検査件数の減少などによって困難な状況にあります。

 分析センターは、広範な消費者の皆さんや、市民団体の方々とともに「輸入農産物の検査運動」も大いに進め、「食を守る砦」としての役割を果たしていきます。

 その第一歩として、農民連会員の皆さんが生産した18年産米をはじめとした農作物の検査運動を進めましょう。

(新聞「農民」2018.10.22付)
HOT情報
写真