新聞「農民」
「農民」記事データベース20181022-1332-17

ふるさと
よもやま話

山口県農民連会長
秋本義春


岩国基地のある町で
自然災害ともたたかう

 わがふるさとは、「玖西盆地」を東西に国道2号と新幹線が通過する、玖珂町、周東町で3万人が混住する地域です。そこはまた、米軍岩国基地の南西17キロメートルのところにあり、米軍の訓練空域「エリア567」の中国山地低空飛行訓練の帰路の下にあり、複数の戦闘機がごう音を残していきます。

 3月、4機種60機の艦載機が神奈川県の厚木基地から移転が完了したあと、市民には騒音への懸念が広がり、4、5月は月別で最多を2カ月連続更新する苦情件数となりました。

 「跡地返還」の期待にだまされ

 岩国基地は、爆音や事件・事故の軽減を名目に基地依存勢力が官民一体で沖合移設運動を起こし、10年をかけて、2007年に213ヘクタールを埋め立て、沖合「移設」の供用は、2010年5月29日となりました。多くの市民は、被害の軽減と「跡地返還」に期待しましたが、そっくりだまされたのでした。

 陸上面積は1・4倍の789ヘクタール(東京ドームの170倍)で、空港と軍港(3万トンバース)をもつ全国唯一の米軍基地となったのです。港は2度にわたり、オスプレイが陸揚げされたのです。さらに祖生(そお)通信所が2年前に復活・強化され、基地空域の効率的運用を図るとしています。

 山口県と岩国市は艦載機移転容認を国に伝え、「基地と共存する町づくり」を打ち出し、各種補助金や交付金をねだり、2017年当初予算の739・5億円のうち、それは114・01億円にもなっています。

 いま空母とともに基地を留守にしている艦載機が間もなく帰ってきます。耳をつんざく爆音に住民はまたまた最大限の苦情・抗議を突きつけざるをえなくなるでしょう。

 高齢化と相まり農地の荒廃進む

 文章の大半を岩国基地の問題に費やしましたが、元来この地域は、岩国・大竹、周南両コンビナートの中間点にあり、兼業農家が大方です。今はそのリタイア組が田畑を守っています。所得・価格保障のない農業生産物、高齢化と相まって、だんだんと農地が荒廃してきていることから、サルやイノシシに悩まされ、さらに7月豪雨では2人の犠牲者と土石流で多くの耕地が失われてしまいました。

 私の集落も9戸の床上浸水被害、私の田んぼも流木・土砂に加え、ドリンク瓶が30本も流入し、その除去に苦労させられました。

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土砂崩れのあった場所にはブルーシートが…。自然災害の中で稲刈り

 田んぼアートの稲刈りも楽しみ

 あちこちの被災地は多くのフレコンが、しかも数段と積み上げられ、一日も早い復旧が望まれています。苦労の連続ですが、がんばるしかないと、そんな気分で今稲刈りに精を出しています。

 世良輝久書記長が8年前から、子ども達への食育として取り組んでいる田んぼアートの稲刈りも今から楽しみです。

(新聞「農民」2018.10.22付)
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