新聞「農民」
「農民」記事データベース20181203-1338-01

インタビュー

農民連結成30周年にあたって

元農水大臣・弁護士 山田正彦さん

関連/日欧EPA批准するな

 農民連は来年、創立30周年を迎えます。ともに歩んできた30年の運動やエピソード、農民連や新聞「農民」への期待などについて、各界の方々にインタビューします。初回は、TPP(環太平洋連携協定)反対などでともにたたかってきた元農水大臣で弁護士の山田正彦さんです。


食の安全守り、
安倍農政転換する運動をご一緒に

 農民連が来年、結成30周年を迎えるとのこと、おめでとうございます。

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 山田正彦(やまだまさひこ) 1942年、長崎県五島市生まれ。元農林水産大臣、弁護士

 財界のため農業つぶそうと狙う

 いま安倍政権は、TPP11、日欧EPA(経済連携協定)、日米FTA(自由貿易協定)など行きすぎた自由貿易協定を推し進め、多国籍企業の利益のために、日本の農業をダメにしようとしています。これでは、食糧主権も奪われ、輸入食品が激増して、日本人は安全・安心な農産物を食べられなくなってしまいます。生命・健康への悪影響ははかりしれません。

 日米財界のために、農業をまったく知らない規制改革推進会議の言いなりになって、日本農業をつぶそうとしているのが安倍政権です。

 国は、食糧を国民に安定的に供給する責務があり、それを保障するのが食糧主権です。いま、私たちは、日本政府に食糧主権の確立を求める裁判を始めようと計画しています。

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6月19日に行われた議員会館前のすわり込み行動で。右端が山田さん

 地方から農政を変える力に

 私が、農民連のことを理解し、一緒に運動を始めたのは、2001年のBSE問題のときでした。その後、輸入食品の残留農薬や遺伝子組み換え食品が問題になるなかで、食品分析センターを視察に訪れました。私の著書にも書きましたが、当時の立派な検査機器で輸入農産物の危険性を暴露する分析センターの活躍ぶりは、食の安全を守る運動にとってとても力強いものでした。

 私も、地方の農民連・食健連に呼ばれて、講演に行く機会がありますが、農民連のみなさんの主張を聞いていると、現場の農家の声そのものを代弁しているのがひしひしと伝わってきます。地方から農政を変える大きな力になってほしいと思います。

 農民連は“身内”のような存在

 安倍農政に対抗していくためには、幅広く連携していくことが大事です。市民、消費者を巻き込んだ運動が不可欠です。そして、国会では、野党が超党派で共同することが求められています。これまで農民連が果たしてきた役割と今後の期待は大きいものがあります。

 地方の農協はがんばっていますが、全国農協中央会(全中)があてにならないもとで、私にとって農民連は身内みたいなもので、一緒に運動をたたかってきた仲間です。

 食の安全を守り、日欧EPA、日米FTA反対、安倍農政を変える運動をこれからもご一緒に進めていきましょう。


日欧EPA批准するな

衆議院で審議入り
議員会館前で緊急抗議

 日欧EPA(経済連携協定)の承認案が11月20日の衆院本会議で審議入りしました。21日には野党の反対を押し切り外務委員会で趣旨説明を強行。28日1日だけの委員会審議で採決を狙っています。「TPPプラスを許さない! 全国共同行動」は20日に緊急の抗議行動を国会議員会館前で行いました。

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議員会館前で日欧EPA承認案と入管法改正に反対の声を上げる参加者

 この行動は入管難民法改正反対の行動と連携して取り組まれ、緊急の呼びかけにもかかわらず、合わせて120人以上が参加しました。

 共同行動事務局の市村忠文さんは「日欧EPAは日本の経済界がヨーロッパに自動車を輸出しやすくなるよう求めたものだ。その代償として日本の農産物や国民の暮らし、労働の市場まで開放している。経済界の好き放題を許さないために連帯してたたかおう」と呼びかけました。

 農民連の藤原麻子事務局次長は「日欧EPAと外国人労働者の問題はつながっています。労働運動と連帯して『日欧EPAを拙速な審議で批准するな』の声を上げていきましょう」と訴えました。

 国民民主党の篠原孝衆院議員が駆けつけ、「長い議員生活の中でも、これほどの重要な問題がここまで拙速に扱われたのは初めてだ。野党でまとまって徹底審議を要求していきたい」とあいさつ。参加者からは「TPP11の発効とダブルパンチだ」「水道法や漁業法も根は同じだ」などの発言がありました。

 参加者は本会議の行われる国会に向けて「日欧EPA批准するな!」とコールしました。また、本会議の傍聴行動にも取り組みました。

 行動では日本共産党の藤野保史衆院議員も連帯あいさつを行いました。

(新聞「農民」2018.12.3付)
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