新聞「農民」
「農民」記事データベース20181217-1340-08

結成30年の力を生かし、日米FTAストップ、
「家族農業の10年」の運動を広げ、
強く、大きい農民連を
(6/10)

農民連第23回定期大会決議(案)
2018年12月5日
農民運動全国連合会常任委員会

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 (3)大手主導の市場支配を許さず、困難な時だからこそ信頼できる販路の獲得を

 18年以降の米流通は、食糧管理法が制定された1942年以前に戻ったようなものですが、加えて大手主導の市場支配のもとで、大手量販店などの商品ラインナップ見直し、コンビニ・外食チェーンの原料米の変更、大手卸・商社などの仕入れ・販売方針の変更によって、特定産地銘柄の価格・需給が左右されます。さらに気象リスクの拡大により、収量・品質の悪化も深刻です。

 地域で生産をゆだねられている大規模農家や集落営農をはじめ、多様な販路を模索するすべての米農家と対話し、確かな販路をもつ農民連の産直で田んぼと日本の食料を守ろうと呼びかけ、長年の信頼にもとづく産地と米卸・米屋さんとの結びつきを強めて、準産直米を拡大することが求められています。

 (4)米づくりから撤退せず、地域の協同の力で安倍農政の抜本的転換を

 生産から撤退せず、新規就農者の獲得、経営所得安定対策など各種制度の活用や充実をめざし、地域をまとめていく受け皿としての農民連組織や会員の力を多いに発揮すべきときです。

 民間丸投げの米政策から、政府が責任を持つ米政策に転換させ、戸別所得補償制度を復活させることがいよいよ重要です。また、自治体に産地交付金の設定や単独の助成の実施を要求して運動を強めましょう。

 農民連の仲間と実需者が共同して行政へ働きかけ、加工用米への産地交付金の増額や市町村独自加算など前進した地域もあります。

 各地の再生協議会や自治体との関係を強化し、米づくりから撤退せず、米でも仲間を増やし、水田稲作を中心に据えた地域のグランドデザインづくりを仲間とともに描いていくことが求められています。

2 産直運動のさらなる発展をめざして

 産直は家族農業があってこそのものです。消費者と共同して生産を守る運動、生産した作物を多面的に消費者に届ける運動、地場の中小流通業者と提携した運動など、「家族農業の10年」を中心に据えた産直運動をいっそう発展させることが求められています。

 (1)生産と結んだ多様な産直運動の発展

 安全・安心な農畜産物の生産が各地で展開され、高齢者や女性の力が生かされる直売所やインショップ、学校給食への納入など地産地消や産直が地域での生産の維持と活性化に貢献しています。地域の食品加工・醸造など業者と提携したとりくみも各地で広がっています。

 安全性・品質・収量、環境負荷の低減など、栽培に関する先進的な技術の継承・発展は、意欲的な若い生産者にも強い要求があり、大切な課題です。全国各地で実践されているモノづくり講習会や情報交換などにとりくみましょう。

 世界の大豆は75%以上が遺伝子組み換え大豆ですが、国産はすべてが非遺伝子組み換えです。国産大豆の生産拡大、大豆トラスト、飼料用トウモロコシ生産など、多様な生産と新たな販路の確保による経営の安定につなげるためのとりくみを大いに進めましょう。

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各地で進む農家と消費者との交流=東京都清瀬市

 (2)新婦人と農民連の「産直運動の新たな共同目標」の実践を

 農民連と新婦人の28年の産直運動の積み重ねを生かし、「産直運動の新たな共同目標」が合意されました。

 15年から新婦人本部と農民連・ふるさとネットワークの定期協議が再開され、「産直わくわくニュース」の発行、毎月の産直企画提案が行われています。

 都道府県連と産直組織が連携し、新婦人産直の現状と要求を共有し、産直運動に参加することで生産者を支え、日本の農業を守り、さらには社会を変え、政治を変える運動へ産直運動を高めるための学習・交流をめざしましょう。

 そのためにも、田植え・稲刈り交流以外にも工夫をこらした交流企画、「産直運動カフェ」などのような多様な企画にとりくんでいる都道府県連、産直組織の実践に学び、運動を強化しましょう。

 (3)地産地消による学校給食無償化を求める運動

 地域の安全な食材を使った生産者の顔の見える学校給食の実現を全国共通課題に位置づけて運動を広げ、関係者・学校との懇談、学習会やシンポジウムなど、住民ぐるみの運動に発展させましょう。

 TPP11が発効して外国からの輸入食品が増加し、学校給食もターゲットとなります。地場産農産物の利用をさらに拡大するとともに、民営化・センター化反対、学校給食の無償化運動を進めましょう。また、学校給食へのとりくみをちゅうちょさせる学校給食固有の受発注方法、少量配送・時間制限の課題なども洗い出し、行政・学校現場とも話し合いましょう。

3 日本の種を守る運動

 (1)「種子法」廃止後、大きく広がった運動

 官邸主導による種子法廃止に対し、全都道府県が従来通り種子事業を続け、新潟、埼玉、兵庫、富山、北海道、長野などの道県が種子法に代わる種子条例を制定または検討、さらには、野党6党が共同提案した「主要農作物種子法復活法案」を継続審議に持ち込むなど、運動は大きく発展しています。さらに、この運動は、種子法廃止の背景にある官邸農政そのものの矛盾を鋭くえぐる運動に発展しています。

 また、「種子への権利」を盛り込んだ「農民の権利宣言」が国連で採択されましたが、日本政府は棄権し、世界の流れに対する逆行ぶりを示しました。

 全国で種子条例制定をめざし、この運動を通じて野党6党共同提案の種子法復活法案の成立を求める運動を強めましょう。

 (2)種苗法改悪を許さない運動と在来種を守る運動

 その一方で、植物遺伝資源の「育成者権」を強化し、農民の「種子への権利」を侵害する動きも強まっています。農水省は18年5月、「植物の新品種の保護に関する国際条約」(UPOV=ユポフ=91)で定めている農民の「自家増殖」の権利を「原則禁止する」との方針を打ち出しました。そのうえで、野菜・果樹・草花・鑑賞樹など自家増殖が禁止されていた「登録品種」を82から、289に増やし、今後さらに増やしていく方針を明らかにしました。これによって農家は毎年種苗を買わなければならなくなります。

 種子・植物遺伝資源は人類の共有財産であり、これを企業に独占させることを許すわけにはいきません。地域の共有財産である在来種を守り普及していくことは、農民の自主権を回復する運動です。大手種苗会社に頼らない「在来種を守る」運動を大いに進めましょう。

4 分析センターを利用した検査運動の推進を

 農民連食品分析センターは、食の安全を守る“食と農の防人”として、放射能、残留農薬、重金属、遺伝子組み換えなどの検査にとりくんできました。

 (1)飛躍的に強化された検査能力をいかして

 多くの皆さんの募金により導入した分析装置(LC/MS/MS)が本格稼働を開始し、従来機器との組み合わせよって、検査能力が飛躍的に向上しました。残留農薬検査では、国内登録成分の7割に相当する400成分に対応できるようになりました。

 この検査能力を活用し、農民連会員などの受託検査だけでなく、輸入漢方生薬、輸入ワインの残留農薬調査など、食の安全・安心を監視する調査活動を行っています。築地移転先の豊洲新市場に大量発生したカビについても綿密に検査を実施し、結果を発表しました。

 また、国内では栽培することが承認されていない遺伝子組み換えワタが、気がつかずに栽培されてしまっている実態も発見し、環境省、農林水産省に、栽培者を被害から守るとりくみと、事態の改善を求める要請にとりくみました。

 (2)農民連会員の技術の高さと産直野菜の優位性を明らかに

 農民連食品分析センターは、食の安全・安心の調査活動だけでなく、日頃の農産物生産にも生かすことができるものです。会員から「なぜうちの豚肉は脂がおいしいか調べてほしい」という依頼に応えて行った検査では、会員の豚肉の脂肪酸組成が、イベリコ豚に近い比率であることを確認し、会員の技術の高さを裏付けることができました。産直野菜はビタミンCが多いことなど、国産野菜の品質を明らかにする検査なども行ってきました。

(新聞「農民」2018.12.17付)
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