新聞「農民」
「農民」記事データベース20181217-1340-10

結成30年の力を生かし、日米FTAストップ、
「家族農業の10年」の運動を広げ、
強く、大きい農民連を
(8/10)

農民連第23回定期大会決議(案)
2018年12月5日
農民運動全国連合会常任委員会

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 (2)自主計算・自主申告運動の前進を

 「売り上げはごまかさず、経費はチリ一つ落とさず」が農民連の自主計算・自主申告運動の基本です。農民連の記帳簿を使って、堂々と自主申告運動を進めましょう。

 直売や産直を手がける農家への税務調査や直売所へのいっせい調査、税務署が税務調査の事前通知義務を怠り、税務署に呼び出すなどの違法な調査が後を絶ちません。組織的な対応で跳ね返しましょう。

 国民健康保険税(料)は多くの農家にとって最も重い税金であり、住民税は多くの農家にとって所得税の2倍以上の金額になります。国保税も住民税も確定申告の所得金額などによって決まります。所得が住民税の非課税限度額を下回ると介護利用料・介護保険料・医療費・後期高齢者医療保険料など各種公的負担が軽くなるため、年間数十万円もの違いになることがあります。正しい記帳と申告は、暮らし全般に影響することを広く知らせましょう。農民連の『税金対策の手引き』と『記帳簿』を使って、多様な要求で結びつきのある農家に働きかけて会員に迎え入れましょう。「春の大運動」を大きく前進させ、「3・13重税反対全国統一行動」を成功させましょう。

 (3)納税緩和制度の活用を

 国保税や消費税など、支払い能力を超える課税がされる仕組みになっているために、税金を払いきれなくなる場合があります。不当な滞納処分によって営農と暮らしが壊されることがないように、納税(徴収)の猶予、換価の猶予など、納税の緩和制度を積極的に活用しましょう。

 (4)免税軽油制度の恒久化を

 運動で継続させた免税軽油制度は、21年で免税の延長期限が切れます。活用を広げるとともに、継続延長を勝ち取り恒常的制度にするための運動を強めましょう。

 (5)暮らしを守る相談会運動

 農家は、営農や暮らし、雇用、高すぎて払えない国保税と保険証の取り上げ問題など、さまざまな問題を抱えています。税金だけでなく、社会保障、農業労災、原発損害賠償請求、生産や販売、準産直など、多様な要求を掲げ、弁護士や労働組合、市民団体、地方議員などと協力して、地域できめ細かく「相談会」を開きましょう。

 (6)畜産を守る運動

 飼料や燃油価格の高騰を吸収できない畜産物価格と、TPP11や日欧EPA、そして日米FTAと次々にくる自由貿易協定の推進が、畜産農民に先行き不安をもたらし、離農が加速する事態となっています。特に酪農家の離農は著しいものがあります。

 再生産が可能な畜産物価格の実現、国内産飼料生産への支援、BSE全頭検査の復活、家畜伝染病の予防や病気発生後の経営対策などの抜本的強化を要求して運動を進めます。

10 漁業、林業を守る運動

 安倍内閣は、農業と同様に林業や漁業を「成長産業化させる」として、18年の通常国会で「森林経営管理法」を可決し、漁業法改悪を18年の臨時国会で野党の反対を押し切って強行しました。

 「森林経営管理法」は、歴代の自民党政権が推し進めた木材の輸入自由化で木材価格が下落し、伐採、植林の採算が合わず、山が荒れている深刻な現実を口実に、採算ベースに乗りそうな森林を企業に明け渡すものです。

 漁業法改悪は、地元漁民を優先している漁業権を改め、定置網や養殖を突破口に企業に都道府県知事が漁業権を付与し、海区調整委員の公選制を首長の指名制にするなど、大企業を優先して漁民を漁業から締め出すとんでもない大改悪です。

 こうした乱暴な改悪は、全国各地で矛盾を深めています。特に漁民の中でクロマグロの一律な漁獲規制に反対するたたかいが巻き起こり、漁業法改悪に反対する運動が大きく高揚しています。

 3年間の準備期間を経て18年9月に結成された「全国沿岸漁民連絡協議会」(全国沿岸漁民連、3500人)が、漁業法改悪反対運動や漁民の暮らしと経営を守るうえで大きな役割を果たしました。立場を超えて一致する要求で全国的に団結してたたかう漁民の自主的組織が誕生したことは、国民にとっても農山漁村を守る農民連の運動にとっても大きな力です。

 農民連は、全国沿岸漁民連と固く連帯し、乱獲で資源を脅かすまき網・トロールへの適正な規制、漁民の経営と暮らしを守る多面的運動を進めます。

 林業の再生は中山間地の活性化、雇用と地域経済の再生、温暖化対策からも重要です。建材への国内産材使用やバイオマスのとりくみなど、林業を再生するとりくみを進めましょう。

11 憲法9条改悪阻止、平和と民主主義を守るたたかい

 安倍首相は任期中に「自衛隊の違憲・合憲論議に決着をつける」と改憲を強行する決意を示し、「9条に自衛隊を明記する」改憲案を国会に提起しようとしています。ひとたび憲法に自衛隊を明記すれば、戦力保持を禁止した9条2項は空文化し、海外での武力行使が無制限になってしまいます。

 安倍政権がねらう憲法9条の全面的な改悪を阻止するために、中央、地方で「憲法共同センター」を軸に運動を強めるとともに、「9条の会」、農林水産関係者の中で「農林水産9条の会」の発展に協力します。

 農民の要求を実現するためには、アメリカいいなり政治のもとになっている日米安保条約を廃棄し、大企業の利益を最優先する政治の転換が不可欠です。政治革新のための3つの共同目標を掲げる革新懇運動の発展をめざし、全国でも地方でも奮闘します。

 要求を実現し、政治を変えるうえで、首長選挙で要求と政策の一致を前提に革新・民主の候補を勝利させましょう。19年の統一地方選と参院選挙は、自公とその補完勢力を少数に追い込み、新しい政治の展望を切り開く大切な選挙です。大衆組織としての原則を堅持し、農民連と要求と政策が一致する勢力を前進させるために全力をあげましょう。

W 農村で多数をめざす組織づくり

1 多様な要求実現と結んだ組織拡大のとりくみ

 重税から暮らしと経営を守り、多様な販路の拡大、農業労災、新規就農者支援などのとりくみが全国で展開されています。

 こうした要求運動と結んだ拡大運動で、前大会以降の2年間で世帯、女性・青年会員、団体加入を含めて新たに会員を迎えました。新たに迎えた仲間のすべてが切実な要求実現の運動を通してのもので貴重な成果です。同時に、本部への世帯会員の登録は、17年度、18年度ともに数百名減少し、そのほとんどが死亡や離農、世代交代による退会です。

 17年度に前年より組織登録を前進させたのは12都県連、18年度は14府県連です。

 前進した組織に共通する教訓は(1)要求を鮮明にしての大量宣伝、(2)会員・組合員に依拠した紹介活動、(3)要求実現に強い役員・専従者の育成、(4)中心的な幹部の熱意と決意、(5)事務所と専従を持ち地域に根ざして活動する単組の確立です。

 この5つの教訓にもとづいて奮闘した県連では、専従者会議の毎月開催を基本に据えて、専従者のやる気を引き出し、春の運動では全戸ビラを配布して「なんでも相談会」も小まめに設定して仲間を迎えています。端緒的なとりくみですが、学習を基礎に要求実現の力量を高め、まわりに打って出ています。

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ニカラグア、インドネシアからビア・カンペシーナの仲間を迎えて=2月13日、国会内

2 新聞「農民」読者拡大と紙面の改善

 (1)読者の拡大と新聞「農民」を中心にすえた活動

 めまぐるしい情勢の中での新聞「農民」の報道は、日々の運動や悪政とのたたかいを進めるうえで重要な役割を果たしてきました。米価暴落の現場の声や実態、TPPに反対する草の根の運動を伝える報道は、全国の農民を励まし、運動を広げる大きな力になりました。農協や農業委員、農業関係団体・消費者団体に一定の読者を持つことが運動を前進させるうえで大きな力になっています。

(新聞「農民」2018.12.17付)
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