新聞「農民」
「農民」記事データベース20181224-1341-02

グリーンウエーブ学習会で講演

滋賀・日野町長 藤澤直広さん
私も農民 農村では
共同と助け合いが文化

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  /滋賀・日野町長 藤澤直広さん 私も農民 農村では共同と助け合いが文化


画像  滋賀県日野町は日野菜が特産で、集落営農も滋賀県が発祥と言われています。私自身、町長の傍ら農業をしています。多彩な農業経営が地域にあって良いと私は思います。私も集落営農で1ヘクタールほど耕作を担当しています。滋賀県農民連の東野進会長とも懇意にし、いつも支えてもらっています。

 平成の大合併で滋賀県は50市町村から19市町に減少しました。日野は、合併推進派の当時の町長をリコールし、私が立候補し当選。今は4期目になります。

 「中学校で給食を出してほしい」という新日本婦人の会のみなさんはじめ町民の声があり、2期目に自校方式で給食を実現しました。今年の4月からは週3回の米飯給食を実施しています。温かいご飯が出ることで、子どもたちも喜んで、残飯も少なくなりました。

 日野町では「農業・農村は豊かな自然を守り、人を育むために必要。共同社会や助け合う文化の根本が農村にある」という考えから、1泊または2泊で農村生活体験の受け入れを行っています。開始から10年が経ちますが、年間に20校以上が訪れ、約4000泊分を受け入れています。

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日野町ではタマネギの収穫など農村の暮らしを体験します

 「コンビニのないところでよく暮らせるなぁ」と言っていた子どもたちが、裏の畑で野菜を収穫して調理する生活を通じて、「コンビニがなくてもいいんだ」と変わります。実際には町内にコンビニはありますが。自分で収穫し調理して食べると、野菜も食べるし、日々の親の苦労も理解するなど保護者からも好評です。これこそが農業・農村の持つ人間形成能力ではないでしょうか。

 子どもたちが元気になるだけでなく自分たちも元気になる。「自分たちはこんなにも喜ばれる」と町に誇りも持てると、まさに「三方よし」です。百姓・農村には生活の原点があると感じてもらえたらと思います。

 生活体験とともに移住推進の事業も行っています。最近では田舎暮らしが注目されています。自然の大切さや人の絆、温かさというものは都会の人から見ても大事であり、移り住んでみようという人が増えています。田舎に住む人間として自分の地域に誇りを持ってがんばろうではありませんか。

 一見、何もないようにみえても、人々が生活を営み、互いに認め合っている地域社会をつくっていくことが大切です。農業・農村を支え、大切さを伝えているみなさんの運動が大変大事なベースの部分を支えてもらっていると感じています。

(新聞「農民」2018.12.24付)
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