新聞「農民」
「農民」記事データベース20190107-1342-11

旬の味


 12月は園芸を主としているわが家ではいったん一休みの時期に入るのですが、年末に向けて、餅つきが行われます。この杵つき餅がわが家の農産物としての価値を一番自慢できるものになっている気がします▼初めは自分の家のためだけについていた餅なのですが、親戚伝いに近所に広がっていき、「機械でついた餅とはやはり一味もふた味も違う」と正月の楽しみにしているファンも増え、12月になると予約をしてくるお客さんもでてきて、年々その数が増えています▼杵つき餅の魅力はその味だけではなく、一伝統芸能としての魅力もあるらしく、ついてこねているその姿を見て「昔はうちでもついていたんだけどねー」と目を細めるお客さんがたくさんいます▼この杵(きね)と臼(うす)。30年前、私の両親が地元のお祭りで野菜苗を売った金額全てをつぎ込んで購入したものです。その投資はわが家にとっては成功した稀有(けう)な例かもしれません。その投資を生かして、次の代へと引き継いでいけたらいいなと思っています。

(平)

(新聞「農民」2019.1.7付)
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