新聞「農民」
「農民」記事データベース20190211-1347-05

インタビュー

農民連結成30周年にあたって
第3回

全農協労連委員長 砂山太一さん


農業への思いを
語り合う場を地域で

画像  農民連30周年おめでとうございます。

 わたしは1984年、新潟県の直江津農協に入所、同時に労働組合に入りました。そして98年に農協を退職し県農協労連の書記を務め、2016年からは全農協労連の委員長を務めています。

 わたしが農民運動と出会ったのは、当時の農民懇(農民運動の全国センターを考える懇談会)の時代です。当時は、県連労と農協労連の書記局に農民組合が入っていて、労働組合の活動を通じて交流がありました。

 農協労組と農民連は、新婦人など他団体とともに食健連運動に取り組み、さまざまな取り組みを共同で行ってきました。三条市での収穫祭には、息子も一緒に参加したことを覚えています。

 また、自治体と農協へのキャラバンを毎年絶えることなく行ってきました。その中でTPP反対の県民共闘会議を農民連と一緒に組織し、その後の継続的な運動の力となりました。

 振り返ってみて一番印象に残っているのは、2010年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の農業担当大臣会合に対抗して全国集会を開いたことです。当時の菅首相がTPP(環太平洋連携協定)交渉参加を検討すると表明、それに対する運動が求められました。繁忙期の忙しさに加え、新潟県内は歓迎ムード一色でした。その雰囲気を変えるため、全国から集まって反対集会と提灯デモを行えたのは農民連の積み上げてきた力があったからこそだったと思います。

 労組書記になったばかりのころです。当時の新潟県農民連会長に誘われて、浅草で行われた研究交流集会に参加しました。その時に、こんなにも熱心に農業のことを考えている人がいることに感激し、こうした人たちが地域を作っていくと感じました。それ以来、農民連との共同を一貫して追求しています。

 農村と農協の民主化には、農民連の力が必要だと思っています。そのためにも農民連が大きくなることを願っています。また、上からの農政の押しつけではなく、私たちの地域や農業にたいする思いを反映させる農政にしていくことが求められます。その点で農民連に期待をしています。農民連と農協労働者が手を携えて地域に対話を広げていきたいですね。

 「家族農業の10年」や「農民の権利宣言」を地域でどう具体化していくかが今後の課題です。

 家族農業を守ることは、地域や国民の食料を守ることにつながります。そのためにも、市民や団体との対話や共同の取り組みが不可欠です。農民連との協力・共同を力に運動が前進できるようにしていきたいと思います。

(新聞「農民」2019.2.11付)
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