新聞「農民」
「農民」記事データベース20190218-1348-01

輸入小麦の製品から
残留除草剤グリホサート検出

関連/小麦をたくさん食べる人はグリホサートも多く摂取?
  /農業の大規模化、省力化の拡大でプレハーベスト(収穫前)農薬が増加

 農民連食品分析センターは昨年末、「遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン」と共同で小麦粉や天ぷら粉などの残留農薬試験を行いました。その結果、輸入小麦粉の一部から除草剤のグリホサートが検出されました。


発がん性が指摘されている

 グリホサートは日本でも販売されているラウンドアップ(開発はモンサント社)の主成分です。国際がん研究機関により発がん性が指摘されています。

 アメリカでは昨年、学校の校庭管理で散布作業をして悪性リンパ腫(しゅ)になったとして損害賠償請求が行われ、サンフランシスコ地裁で約3億ドルの賠償金を支払うことを命ずる判決が出ており、グリホサートの使用に関心が集まっています。

 検出濃度は1・1〜0・03ppmと、残留基準値の30ppmと比べ1ケタ小さいものですが、小麦の残留基準は2017年12月に5ppmから6倍に引き上げられています。

 結果を見ると、国産のものからは検出はなく、輸入品、特に全粒粉で高い残留値を示しています。

 農水省が2013〜17年に行った調査では、アメリカ、カナダ産小麦の90%以上からグリホサートが検出されたという報告があります。

 海外では収穫作業の効率化のために、収穫直前にグリホサートを散布するプレハーベスト処理が認められている国があります。高い検出率はこの処理によるものと考えられます。

画像
北海道の小麦収穫の様子。海外では収穫直前に除草剤を散布しています

 日本の小麦栽培では認められていませんが、大豆では13年にプレハーベスト処理が認可されている現実があります。


小麦をたくさん食べる人は
グリホサートも多く摂取?

農民連食品分析センター
八田純人所長の談話

 小麦にグリホサートの残留があるという報告はありましたが、まさかこれほど多くの製品から検出されるとは考えていなかったので、とても驚きました。海外では、小麦生産で、グリホサートの使用が常態化していることがわかります。

 この結果について、メーカーは、食品衛生法の基準値より、低濃度のため、健康に影響はない、と判断しているようです。

 しかし、お米より小麦を多く食べる人は、日頃からグリホサートを多く摂取していることが推測できる結果です。今後は、市販のパンや学校給食パンなどについても調査を行って実態を明らかにしていきたいと思います。


遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表
天笠啓祐さん コメント

農業の大規模化、省力化の拡大で
プレハーベスト(収穫前)農薬が増加

 現在、日本の小麦の自給率は14・7%(2017年)で、大半を輸入に頼っています。その海外産小麦は国が管理しており、輸入国は基本的に米国・カナダ・オーストラリアに限定されています。製粉業界は、毎年この3カ国から入ってくる小麦の品質をチェックして、ブレンドして品質の安定化を図っています。

 その小麦で除草剤グリホサートの残留が増えています。背景には、最近増えているプレハーベスト(収穫前)という農薬の使い方があります。以前から行われている収穫の方法ですが、農業の大規模化、省力化が拡大をもたらしているといえます。収穫目前に農薬を散布するため、残留量も多くなります。

 今回の検査でわかったことは、パンによく使われる強力粉で汚染がひどいことです。とくに全粒粉ほど汚染されています。強力粉の原料である春小麦は、米国北部とカナダで生産されており、収穫時期が秋になるため一斉に枯らせるプレハーベストが有効であることがあげられます。また全粒粉ほど汚染されているのは、農薬の残留しやすい胚芽(はいが)や表皮があるためだと考えられます。

 逆に国産の小麦からは検出されず、海外産でも有機であれば検出されませんでした。

 ホームセンター公園や校庭でも

 グリホサートは、現在、遺伝子組み換え作物の90%近くに用いられている除草剤であり、日本では公園や校庭などで散布され、一般市民向けにホームセンターなどで山積みして販売されている除草剤です。

 米国やカナダでは、グリホサートの使用量が増えたことから、農家の健康が脅かされると同時に、食品への残留量が増え、健康被害が消費者にも広がっています。

 発がん性があり、加えて妊娠や出産への影響、子どもへの神経障害等も報告されています。日本でも一般家庭でのパン食が増え、学校給食にも用いられていることから、とくに子どもたちへの影響が懸念されます。

 食品の検査運動参加をよびかけ

 グリホサートの汚染が懸念されているのは小麦だけではありません。食用油やしょうゆなどの遺伝子組み換え大豆・ナタネから作る食品や、遺伝子組み換え作物を飼料にしている家畜から作られる肉や卵、乳製品などの食品も残留が懸念される食品です。これらの食品の汚染をチェックして、農薬汚染をなくさせていく取り組みが大切です。

 現在、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」では、さまざまな食品での検査運動に取り組んでいます。ぜひ皆様のご協力をお願いいたします。

(新聞「農民」2019.2.18付)