新聞「農民」
「農民」記事データベース20190225-1349-03

農業の多面的機能に確信を、
地域から都市農業・農村の再生を

―大阪・阪南支部協議会が学習会―

 大阪農民連・阪南支部協議会(山下博会長)は2月11日、「農家も消費者も元気になる新春学習・交流のつどい」を泉佐野市で開催し、農家・消費者、産直、給食関係者など27人が参加しました。今後の農村・農業のあり方、農地の多面的機能を考えた消費者のあり方について和歌山・紀ノ川農協の宇田篤弘組合長を迎えて学習・交流を深めました。


 離農者が増え、地域成り立たず

 山下会長は、開会のあいさつで「宇田組合長には、10年ほど前に淀川市民生協への出荷や松源長滝店の直売所などを紹介していただき、農家の販売先を確保するうえで大変お世話になった。その豊富な経験を学んで今後に生かしたい」と講師を紹介しました。

 宇田さんは「30代で組合長になって23年目。この間、農業者の高齢化が進み、離農者が増え、未耕作地が広がり、ため池の管理、祭りなど地域そのものか成り立たなくなっている。都市農業も同様な状況を抱えていると思う」と問題提起しました。

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紀ノ川農協の宇田組合長を迎えて学習会が開かれました

 地域から農業・農村づくりを

 そのうえで紀ノ川農協が10年、20年先を見据えて、組合役員の若返りや、農協の「理念」「行動指針」「目標」を見直し、和歌山県全域を対象とした農産物の販売と組合員(約1千世帯)の生産資材の購買を行う販売専門農協(7割が市民生協への販売)として、努力してきた経験を紹介。特に農家・消費者が農業の多面的な機能(貨幣評価年間8兆2千億円に対して、直接支払いはわずか775億円)について認識し、それに見合う支援を求め、価格保障を行うこと、上からの目線でなく地域から農業・農村づくりをめざすことが必要だと強調しました。

 その後の交流会では、参加者から「多面的機能交付金は大阪府にも支払われているのか」「行政の『人と農地プラン』がうまくいっている例は」「初めて参加した。民泊等の取り組みは」「販売価格が再生産費に見合わない」「紀ノ川農協が目指す有機農業・GAP推進の取り組みについて」等の質問に丁寧に答えていただきました。最後に、2月18日〜23日まで取り組む「なんでも相談会」への参加を呼びかけました。

 地域で力合わせ安倍農政変える

 参加者からは、「工夫して、よく頑張っている様子がよくわかりました。消費者の立場でも、安全安心な食料品を大事に考えています。地域で力合わせて安倍農政を変えるためにがんばりたい」(新日本婦人の会)、「農政が悪すぎるのが自給率低下の一番の原因ですね。野菜ボックスでは産地交流会・収穫体験等の企画を」(生協会員)など多彩な感想と期待の声が寄せられています。
(大阪・農民組合阪南支部協議会 下村晴道)

(新聞「農民」2019.2.25付)
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