新聞「農民」
「農民」記事データベース20190304-1350-06

作物の栽培規制と
食品の安全審査求める

ゲノム編集

緊急署名2万2896提出


「安全性」情報提供は「任意」、
届け出も不要

 「すべてのゲノム編集作物の栽培を規制し、食品の安全審査を行い、表示することを求めます」との緊急署名提出行動が、1月29日、国会内で開かれました。

 ゲノム編集は、「はさみの役割の遺伝子を導入し、標的とする部分だけを切り取ったあと、はさみの遺伝子を取り除くから変えた跡が残らない」技術と説明されています。

 今年3月中にも審議会が結論

 この技術を活用して作られたものを使った食品の規制について、厚生労働省と環境省の各審議会が、「遺伝子の一部を削るものについては、自然界でも起こりうる変化の範囲内」として、従来の遺伝子組み換え技術への規制の対象外としています。

 研究者や企業側からの安全性などの情報提供は「任意」とし、届け出を行わなかった場合でも罰則規定を設けず、「ゲノム編集食品に関しては基本的に規制しない」という結論を、今年3月中に出そうとしています。

 こうした動きに対して「あまりにも消費者や農家などの知る権利を奪うものだ」と、昨年12月「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」を中心に緊急の署名行動が取り組まれ、年末年始をはさんだわずかな期間に集めた、団体署名139、個人署名2万1492人分、ネット署名1265人分を関係省庁に提出しました。

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団体・個人から寄せられた署名を提出しました

 種子企業の要求GM技術に該当

 署名提出後に、関係省庁に送った、(1)ゲノム編集の安全性について(2)制度的な問題について(3)表示について――の3点の質問の回答を求めましたが、回答は、審議会での議論の繰り返しで、質問の趣旨とかみ合わないものに終始しました。

 農民の立場から発言を求められたので、(1)この育種技術は農民が求めているものではなく種子開発企業のものだ、(2)種子の段階で表示がなければ、栽培圃(ほ)場からの交雑の可能性から、GAP(農業生産工程管理)認証など認証制度が形がい化する、(3)安全を主張するなら堂々と表示すべきだ――と主張しました。

 さらに、昨年7月、欧州司法裁判所は、「自然には派生しない方法で生物の遺伝子を改変して得られた生物は遺伝子組み換え(GM)に該当する」と判断しています。「このように国際的に意見が分かれる技術は、もっと慎重に議論すべきだ」と発言しました。

(農民連常任委員 齋藤敏之)

(新聞「農民」2019.3.4付)
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