トランプ大統領
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「5月までに決着を」と迫るトランプ大統領(右)と安倍首相=4月26日、ワシントン(首相官邸ホームページから) |
農産物関税全廃の要求まで
「日本側の基本戦略は、農業で譲歩し、日本車への制裁関税や輸出制限の回避を勝ち取るというものだ」(「読売」)、「日本が一方的に米農産物への関税を『TPP(環太平洋連携協定)レベル』まで下げる内容となる可能性が高い」(「朝日」)――普段は安倍政権に対する忖度(そんたく)報道に終始している日本の新聞が、このように断言しています。ここに緊迫ぶりが反映しています。ある外務省幹部は「今回訪米して協議しなければならない懸案事項はない。逆に貿易などで米側から圧力をかけられ、やぶ蛇になるのでは」と懸念していました。
TPP11と日欧EPA(経済連携協定)の発効によって牛肉・豚肉などのアメリカの輸出比率が落ち込み、トランプ政権は「1日も早く挽回しなければ」と焦りまくっています。そこに、のこのこ出かけて行った安倍首相は「飛んで灯に入る夏の虫」。トランプ大統領は「TPPレベル」にとどまらず、農産物関税全廃の要求まで突き付けました。
「TPP11を発効させれば、アメリカが焦ってTPPに復帰する」という甘い見通しで「やぶ」を突つき、今度はのこのこ訪米し、再び「やぶ」を突ついて「アメリカ第一主義」という蛇を出してしまった――安倍首相の外交無能ぶりは明白です。
しかもトランプ大統領は、「物品貿易協定」(TAG)と言い張る安倍政権につけ込んで、とりあえず「物品」、つまり農産物で一方的に譲歩させたうえで、自動車への制裁関税や輸出制限、為替問題を圧力材料にして「すばらしい長期的な貿易協定を結べる可能性がある」と、日米FTA(自由貿易協定)まで突き進むことを豪語しています。
日米貿易交渉は直ちに中止を
日米首脳会談は5月、6月と続き、6月にはライトハイザー通商代表が来日、9月には今年4回目の首脳会談が開かれる見込み。日米交渉は緊迫した局面に入っています。TPP11・日欧EPA発効に加えて、日米交渉をこのまま続けることは、日本の農業や国内産業にとって文字通り亡国の道であり、交渉は直ちに打ち切るべきです。
TPP妥結翌年の前回参院選では、東北5県など全国の農政連が自民党不支持を決め、1人区での野党勝利に結びつきました。「選挙が終わったらトランプ大統領言いなりに何でもやる」という安倍自公政権に対し、参院選で市民と野党の共同の力で審判を下し、日米FTA交渉をストップさせましょう。
今年の稲作開始!
山形・庄内産直センター
仲間たちで共同して種まき作業中(鶴岡市) |