新聞「農民」
「農民」記事データベース20190513-1359-09

旬の味


 日本の春の味を楽しむ食材と料理。春一番の味はフキノトウ。天ぷらで楽しみ、フキみそをキュウリにつけて食べ、熱々のご飯に載せて味わう。今年のフキみそがことのほかおいしく、その食卓に満足した▼次に登場したのは山椒(さんしょう)の花の佃(つくだ)煮。山椒の雌株は実がなるが、雄株は花を咲かせても実をつけない。その花をたくさん摘み、酒としょうゆで佃煮にし、ご飯とともに香りを楽しみながら食す▼庭の畑のネギ坊主も食卓へ。柔らかいうちにつまんで天ぷらに、酢みそ和えに。ネギの香りもネギ坊主の形も楽しめる。天ぷらの材料としてヨモギも捨てがたい。やがて山椒の雌株に実がつくと佃煮や塩漬けの保存食にする。米が主食の日本食だからこそ楽しめる味である▼柿の葉で年に一度作る柿の葉ずしも楽しみたい。そんな思いを巡らしているときに福島・小高の方から電話をもらった。私たちと一緒に料理して楽しむことを待っていて下さる。仮設住宅でのつながりが料理を挟んでさらに発展した形になっていく。

(澄)

(新聞「農民」2019.5.13付)
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