新聞「農民」
「農民」記事データベース20190520-1360-02

安倍政権 東京電力

福島切り捨て許さない

福島県農民連


 福島県農民連は4月26日、「安倍政権と東京電力の福島切り捨てを許さない! 政府・東電要請行動」を行いました。被災者の声に耳を傾けず、原発事故をなかったことにしようとする、政府・東電の姿勢が際立つ行動になりました。

 首相官邸前の抗議行動で福島県連の根本敬会長は「今だけ、金だけ、自分だけの日本の姿の象徴が原発だ。子や孫、まだ生まれていない新しい命のためにもたたかい続けよう」と呼びかけました。

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首相官邸に向かって力のかぎり抗議のコールを行いました

 原発をなくす全国連絡会を代表し、全労連の小田川義和議長が連帯あいさつ。「政府・東電の傍若無人な振る舞いを改めさせないといけない」と話しました。

 続けて政府・東電への要請行動が行われました。

 福島県内では放射能汚染と無用な被ばくによる精神的苦痛への損害賠償を求めた集団申し立てが各地で組織され、原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)が和解勧告をしています。しかし一例を除き東電が相次いで受諾拒否し、25万人が救済されず政府への批判が高まっていました。

 2月25日の衆院予算委員会で安倍晋三首相が「東電は和解案の尊重を自ら表明しており、誠実に対応することは当然の責務だ。経済産業省からしっかり指導させたい」と答弁。救済が進むことが期待されていました。

 しかし東電は「指導を受けて個々の申立人に事情を伺う文書を送った。話を伺ったうえで対応する」と返答。参加者からは「『和解を受け入れるべき』という首相の指示に従わないのか」「すでに和解案が出ているのに、個人に一からやり直しをさせる気か」と怒りの声が上がります。

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資料を手に国と東電を追及する根本会長

 環境省は、少しでも除染で出た汚染土の最終処分量を減らそうと堤防や高速道路の盛り土、道路の路床材などに「再生」利用を計画しています。昨年二本松市で計画した実証事業は住民の猛反対にあって中止になりましが、南相馬市では高速道路の盛り土に再生利用を計画しています。自宅近くが実証事業の予定地になっている南相馬市小高の亀田俊英さん(県連前会長)は「地域に帰って何とか再興しようとしているのに、水を差すような事業計画はやめてほしい」と悲痛な叫びをあげました。

 また、福島県農民連が継続して求めている農地一筆ごとの汚染マップの作成について「除染をされていない園地もあり、場所によってかなり汚染状況が違う。農民は地面に近いところで作業するし、ほこりなどを吸い込んで内部被ばくのリスクもありうる」と必要性を訴え、「少し離れると空間線量の値はかなり低くなる。上空からのモニタリングでは実態とは合わない。農家の健康を守るためにも実現してほしい」と要請しました。

 しかし農水省は「農作物への影響を調べるために空間モニタリングを行っており、栽培には十分なデータが出ているので…」と農家の安全は関係ないと言わんばかりの答弁に、「俺らはどうなってもいいのか!」と怒号が上がりました。

(新聞「農民」2019.5.20付)
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