新聞「農民」
「農民」記事データベース20190603-1362-06

グリホサート削減めざす

体内の残留農薬検査始まる


デトックス・プロジェクト・ジャパン
日本でも立ち上げ

 子どもらの健康を守りたい!

 日本の食の安全・安心を危惧して活動してきた団体や個人が集まり、昨年12月14日、アメリカで遺伝子組み換え食品や農薬から子どもたちを守るための活動を成功させている全米母親団体「マムズ・アクロス・アメリカ」のゼン・ハニーカットさんの講演会を都内で開催しました。

 講演会終了後、多くの参加者からゼンさんたちの活動のベースとなった農薬・グリホサート(除草剤ラウンドアップの成分)検査を日本の子どもたちにもぜひ実施したいという声が寄せられました。

 さらに、講演会に参加した国会議員らは、超党派の「食の安全を考える議員連盟」の設立をめざしています。

 世界に逆行する日本の規制緩和

 WHO(世界保健機関)の下部組織であるIARC(国際がん研究機関)が、毒性や発がん性の懸念があると発表しているグリホサートについてはすでに海外の様々な国で使用禁止や規制強化しています。しかし、日本では2017年12月に規制が緩和され、例えば子どもたちが給食などで日常的に口にするパンやめん類の原料である小麦粉に関しては残留基準値が6倍に緩和されています。

 そこで、日本人の身体にグリホサートがどのくらいさらされているのか、私たちがどのくらい農薬を摂取しているのかを広く一般の市民・消費者を対象に検査し、結果を公表するプロジェクト「デトックス・プロジェクト・ジャパン」を立ち上げることとしました。

 収穫前や公共の場での散布禁止 一般販売の規制

 検査結果をもってグリホサートの収穫前散布、公園、学校、道路など公共の場での散布の禁止、一般販売の規制など、グリホサートの削減をめざします。

 同プロジェクトの共同代表は、山田正彦・元農水大臣、天笠啓祐・遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表、印鑰智哉・日本の種子を守る会アドバイザー、安田節子・食政策センタービジョン21主宰の4人です。

 国会議員有志が予備検査を実施

 同プロジェクトはこの数カ月、プロジェクト発足に先行して海外検査機関に委託するなど予備調査を行ってきました。グリホサートなどの農薬を検査するために、フランスの研究機関から検査キットを取り寄せ、3月4日、国会議員の有志ら28人が、検査用の頭髪を提供する「断髪式」を行いました。

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国会議員による「断髪式」の様子(IWJ動画から)=3月4日

 5月21日に議員会館内で行われた「デトックス・プロジェクト・ジャパン」キックオフ集会では、山田共同代表が「みんなでグリホサートのことを考えるきっかけにしよう」とあいさつしました。

 ネオニコチノイド系農薬などの健康被害について詳しい、木村―黒田純子さん(環境脳神経科学情報センター副代表、デトックス・プロジェクト・ジャパン顧問)が「グリホサート・ラウンドアップなど農薬のヒトへの毒性」のテーマで記念講演。発がん性や皮膚炎、肺炎の急性毒性、自閉症等の発達障害など、ヒトで報告されている疾患や異常について報告しました。

 農民連食品分析センターの八田純人所長が、「断髪式」に参加した議員の毛髪の検査結果について解説。調査対象成分は、グリホサートのほか、グリホサートが代謝されると生成されるAMPA(アミノメチルホスホン酸)、グルホシネート(除草剤バスタの成分)などです。

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キックオフ集会で。(左から)八田、木村―黒田、天笠の各氏=5月21日

 グリホサートとAMPAの検出でみると、両成分が検出された人は4人、グリホサートのみは4人、AMPAのみは11人、不検出は9人でした。

農民連食品分析センター
新しい粉砕機を導入
まずは毛髪から調査を

 予想以上に農薬検出率が高い 

 八田所長は、検査結果について「思った以上に農薬の検出率が高いという結果でした。今回の結果だけでは、人体への影響などは未知数ですが、たいへん意義のある活動だと思います。この結果をもとに各地で農薬を規制する運動や行動を起こし、多くの人に取り組んでもらうことが大事です」とコメントしました。

 デトックス・プロジェクト・ジャパンは、広く一般の方や農家を対象に検査し、結果を公表していきます。2種類の検査パッケージを用意します。一つはグリホサート、グルホシネート、AMPAの3種類。もう一つは、これら3種類とネオニコチノイド系農薬8種類です。毛髪で検査します。

 検査は、農民連食品分析センターが担当します。このたび、みなさんの募金で、高性能の粉砕機「ミキサー・ミル」(ドイツ・レッチェ社製)を装備しました。粉砕する毛髪へのダメージが小さく、約5分で粉砕でき、それを高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS/MS)などで検査します。

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募金で装備した新機器と八田所長

 今年の夏からの検査申し込みをめざして準備中です。検査の詳細や費用などは後日、お知らせします。


 訂正 5月27日付「ゲノム編集食品が今夏にも食卓に!?」の特集で、4面下から3段目の小見出し「世代を超えて破壊し続ける」の記事中、13行目から始まる文章を次のように訂正します。「この改造蚊が、自然界にいる野生の蚊と交雑すると、雄の子どもしか生まれません。交雑が繰り返されると、雄しか誕生しないため、やがてその種は絶滅してしまいます」

(新聞「農民」2019.6.3付)