国連家族農業の10年・
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家族農業を破壊する
日米FTAをストップ
吉川利明さん
農民連事務局長
今、日本の家族農業を根底から破壊しようとする動きがあります。日米FTAです。トランプ大統領は、「日本の農産物関税の撤廃」を安倍首相に迫りました。安倍首相は、国内向けには「TPP水準が最大、それ以上の譲歩はない」と弁解していますが、「参院選前は無理だが、大統領選までにはきちんとするから」とトランプ大統領に約束しました。参議院選挙がますます大事になっています。安倍自・公勢力を少数に追い込み、日米FTA交渉をストップさせましょう。「家族農業の10年」のとりくみは、家族農業を再評価し支援する運動の大枠ですが、より詳細に支援の条文を定め、実質的に家族農業を後押しするのが「農民の権利宣言」です。
安倍政権は、「農民の権利侵害はない」としていますが、安倍政権の6年間の農政は、家族農業を支えてきた農政(農地法、農協法、種子法、卸売市場法など)を次々に骨抜き・解体しています。
農民連は、日米FTA交渉を中止させる運動に全力をつくすとともに、「家族農業の10年」「農民の権利宣言」を武器に、家族農業を中心とする農政への転換をめざしてたたかいます。
宣言実施へ国をあげ
協力し合う体制を
アルセーニョ・ダ・シルバさん
東ティモール農民運動(モカティル)前議長、協同組合担当大臣
東ティモールは、ポルトガルに400年、インドネシアに24年間占領され、2002年に独立しました。小さな島国で人口が130万人です。農業従事者は基本的に小規模で自給的です。東ティモールで宣言を国レベルで実施するのは難しいことではありません。連立政権の国会議員をはじめ、国をあげて協力し合って実施する体制ができています。モカティルも政策立案に携わっています。
宣言を実施し、種子、食料、土地に対する権利を勝ち取るために農民の協同組合が1つのモデルになります。6月には協同組合促進のための全国的な集会も開かれます。
いま多くの人々が農村を離れていますが、大学と協力して農村に呼び戻すプロジェクトを実施しています。
農民の価値が
再評価されるようたたかう
パク・ヘンドクさん
韓国全国農民連盟(KPL)議長
農民に土地や種子の権利を保障する「農民の権利宣言」を熱烈に歓迎します。韓国では、「宣言」を実施する国内法をどうするか議論が始まっています。「宣言」で、政府が無視してきた農村の持つ文化価値・遺産を守ると規定されたことはよかったと思います。これを武器として他の団体や政府とも協力が必要です。
韓国の農民団体は政府に対し、「宣言」に賛成するよう働きかけてきましたが、棄権しました。しかし採択されたいま、政府が積極的な姿勢をとることが求められます。
「宣言」が韓国で実施され、農民の価値が再評価されるよう今後もたたかっていきます。
権利サポーターつくり
新プロジェクト始めた
バラミー・チャイヤラットさん
タイ貧困者連合(AoP)
タイの農民は政府による開発政策の被害を受けています。土地、自然、ダムによる水へのアクセスを奪われ、森林からの立ち退きを迫られています。軍事政権は5年前に農村に攻撃をかけてきました。弾圧によって迫害を受け、投獄、軍事力の行使、殺人が行われ、裁判を受ける権利も制限されました。
そんなとき、ビア・カンペシーナが私たちに「宣言」を与えてくれました。
2017年に国内で農民の権利サポーターをつくり、農村のリーダーにしようという新しいプロジェクトを始めました。
南部にもリーダーが拡大し、新たに30人が擁護者として活躍できる予定です。
「宣言」実施のための
国内法成立へ力入れる
ルリ・アーディアンシャさん
インドネシア農民組合(SPI)
1980年代、90年代から農民の権利侵害――土地収奪、種子の商品化、水道民営化、農民の犯罪者化――とたたかってきました。いま農村人口が1年間で約50万人減少しています。農業をなくし、民間に委ねようという人たちがいます。
私たちは2001年から農民の権利宣言を求める運動をしてきました、土地・種子・水への権利、農民の組織をつくる権利を確立し、価格が保障されることが大事です。
「宣言」を国内で実施するために(1)内容を会員に理解してもらう、(2)市民社会、大学、国会、政府から理解を得る、(3)新しい国内法を提案する――ことが必要です。私たちは「宣言」推進の先頭に立ってきた者として、全力を尽くします。