新聞「農民」
「農民」記事データベース20190909-1375-04

日米貿易交渉の「大枠合意」に抗議し、
新たなたたかいを呼びかける

2019年8月26日
農民運動全国連合会


 一、8月25日、日米首脳は日米貿易協定が「大枠合意」に達し、9月下旬の国連総会の際の首脳会談での署名をめざすことで一致したことを共同記者会見で明らかにした。

 10月の臨時国会で承認させて、年内に発効させるという最短・最悪の結末に突入しようとしている。

 参院選で「密約はない」と国民をごまかし、「8月にはすばらしい数字が発表できる」と公言したトランプ大統領の発言通りに、わずか1カ月後に「大枠合意」に達した。今回の有様は、およそ交渉とは名ばかりの茶番であり、唯々諾々とアメリカの意のままになったにすぎない。主権国としての尊厳を投げ捨てた屈辱的外交であり、満身の怒りをこめて抗議する。

 一、「大枠合意」に達したにもかかわらず、その内容は明らかにされていない。茂木大臣は記者の質問に対して「中身については答えられない」の一点張りである。TPP(環太平洋連携協定)が「大枠合意」した際には、数百ページにわたる政府説明書が公表されていることからも、今回の隠蔽主義は異様と言わざるをえない。「大枠合意」の内容を国民に知らせないまま、首脳間で署名し、10月上旬に予定されている臨時国会で数の力で承認させることは断じて許されない。

 一、秘密主義の結果、肝心な点が不明のままだ。たとえば(1)「農産物の譲歩はTPP水準におさまった」という報道が目立つが、本当にそうなのか、(2)牛肉のセーフガード(緊急輸入制限)はTPP11諸国と協議して緩和するというが、TPP11諸国の納得を得られるのか、(3)米・小麦のアメリカ特別枠は増えるのか、減るのか――などなど。加えて、安倍首相は“米中貿易戦争”によって行き場をなくしたアメリカの余剰トウモロコシを買い入れる約束をしたと伝えられている。日本の飼料用トウモロコシ(穀実)の自給率はゼロ%で、1100万トンも輸入し、その内の90%以上をアメリカから輸入している。すでに飽和状態の輸入トウモロコシを輸入するなど、狂気のさたと言わなければならない。

 一、TPP11が昨年12月、日欧EPA(経済連携協定)が2月に発効し、さらに日米貿易協定が締結されれば、かつて経験のしたことのない異次元の農産物市場開放となり、日本の農業と食料にもたらす打撃は計り知れないものがある。

 先般、農水省は2018年度のカロリー自給率が37%と過去最低となったと発表したが、今回の「大枠合意」は自給率の低下に拍車をかけることになる。農水省は2010年に全世界を対象に関税ゼロにした場合、米90%、小麦99%、砂糖100%、牛乳・乳製品56%、牛肉75%と壊滅的に生産が減少し、食料自給率は39%から14%に下落するという衝撃的な試算を発表しているが、安倍政権が突き進む道は、農水省の試算を現実のものにしかねない。

 一、たたかいは新たな段階に入った。農民連は、9月下旬の日米首脳会談での署名阻止、臨時国会での批准阻止のために、「日米貿易協定は直ちに中止せよ」の世論と行動を急速に広げるために全力を尽くす決意である。同時に、次期総選挙で、市民と野党の共闘を発展させて安倍亡国政治を退陣に追い込むために力の限りたたかう決意である。

(新聞「農民」2019.9.9付)