新聞「農民」
「農民」記事データベース20191125-1386-09

安全でより豊かな学校給食を(2/3)

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京都府

どの子にも温かい給食を

より豊かな学校給食をめざす京都連絡会事務局長 金井多恵子

 1981年、自民党政府の第2臨調発足の中で学校給食に様々な攻撃がかけられる中、京都では「給食を安上がりの合理化から守らなければ!」という機運が高まり「より豊かな学校給食をめざす京都連絡会」(通称「給食連絡会」)を結成しました。

 国産100%のパンの実現をめざして

 当初は自治労(現・自治労連)と教組だけの組織でしたが、その後生協や新日本婦人の会、福祉保育労、農民組合等の参加があり現在は11団体の給食連絡会となっています。

 主な活動は、(1)その時々の課題に焦点をあてた学習会の開催(年1〜2回)、(2)様々な給食要求を「要望書」としてまとめ、京都府教育委員会と毎年懇談会を行う、(3)2月に1年間のまとめとして「より豊かな学校給食をめざす京都集会」を開催する――ことです。

 大事にしてきたのは「合理化反対」とともに「安全で豊かな給食内容の充実」です。府教委との懇談会では、地産地消の推進と国産小麦100%の給食パンの実現を近年重点にしています。

 給食のパンからも除草剤の成分グリホサートが検出され問題になっていますが、京都では長年要望してきた成果として、2016年から国産100%(府内産20%)のパンが使えるようになっています。まだ一部のパンなので、今年度もすべてのパンを国産100%にしてほしいと要望しました。

 今年は2月9日に第38回の集会を開催し、記念講演では、「和食のすばらしさ伝えたい」と題して、テレビでもご活躍の料理人の野崎洋光さんから講演がありました。日本で昔から食べられてきた食事の知恵を話され、参加者からは、「日常の食事を見直したい」「産直の大切さ再認識できた」などの感想が寄せられました。

 来年2月22日は、元農水大臣の山田正彦さんに「今考えよう日本の食の未来」と題した講演をお願いし、第39回の集会を開催します。

 府内すべてで全員制の中学校給食の実施を

 今、京都で最も強い給食への要求は、中学校給食未実施地域での「全員制の中学校給食実現」です。2018年(文科省5月1日・生徒数)中学校給食の実施率は全国で85・3%です。しかし京都府は37・7%と下から2番目の低さです。

 この間、未実施の地域では、保護者や地域住民の粘り強い要求活動の成果として、昨年度も5つの市町で待望の中学校給食が実現しました。府内26市町村のうち全員制の実施を決めていないのは京都市と亀岡市だけになりました(現在、実施に向け2市2町が検討中)。

 亀岡市では10月の市長選で中学校給食の実現が大きな争点となり、10月末には再任された市長との懇談会が実施されましたが、「中学校給食は実施しない」と回答しています。2000年に選択制・委託業者の弁当方式で始まった京都市の中学校給食は、4人に1人程度しか給食を食べていません。

 京都市では署名活動がスタート

 「全国では当たり前、いますぐ京都市も全員制の給食を」「どの子も温かい給食で楽しい学校生活を」と、こうした願いが集まり、給食連絡会も入った3団体と、藤原辰史・京大准教授や料理研究家の杉本節子さんらがよびかけ人となり「小学校のような全員制の中学校給食をめざす連絡会」を結成。9月28日に「スタート集会」を開催しました。10万人の目標で署名を開始し、反響が広がっています。

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小学校のような給食を求めるスタート集会=9月28日、京都市

 12月7日には、関西大学教授で「豊かで安全な学校給食をめざす大阪連絡会」会長の樫原正澄さんを招いてシンポジウムを行います。

(新聞「農民」2019.11.25付)
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