新聞「農民」
「農民」記事データベース20191209-1388-06

アグリテック&フードテック・サミット
日本経済新聞社主催シンポ
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 11月18日から20日までの3日間、都内で「アグリテック&フードテック・サミット」が開かれました。日本経済新聞が「技術と経営と社会の調和による持続的発展を目指して」のテーマで主催。農業や食料の分野に参入している企業・研究機関などの取り組み、実践を交流するシンポジウムやワークショップが行われ、今年は「家族農業」が重要なテーマとなりました。


家族農業が重要なテーマに

ザイナルさん、ボスクさん、村上真平さんらが登壇
(ビア・カンペシーナ国際調整委員)(国連食糧農業機関)
(家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン代表)

 シンポジウム「農業におけるマルチステークホルダーコオペレーション〜その成功の鍵は何か〜」では、農業の分野で多様な利害関係者が協力することについて話し合うために4氏が登壇。国連食糧農業機関(FAO)世界農業ウォッチ・プロジェクトリーダーのピエールマリ・ボスクさん(フランス)、国際農民組織ビア・カンペシーナ国際調整委員のザイナル・アリフィン・フアトさん(インドネシア農民組合)、熊本県庁副知事の小野泰輔さん、全国愛農会会長で家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン代表の村上真平さんが討論しました。

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討論する(右から)村上、小野、ザイナル、ボスクの各氏。左は司会の関根佳恵さん

 ボスクさんは、農業の大規模化、民営化、自由化が進行するもとで、草の根、地域、国レベルで家族農業を支援していく組織をつくる必要性を強調。各組織や当事者同士の知識の共有を十分なものとするために共通・共同の行動が求められていると述べました。

 ザイナルさんも、各国で家族農業を支援するプラットフォームをつくる必要性を述べ、特に若者や女性の権利を守るためにも多国籍企業やアグリビジネスとのたたかいを呼びかけました。

 そのために食糧主権と環境に配慮した農業(アグロエコロジー)の達成・実践を行いながら、農業者、研究機関、消費者などが連携・協力していくべきと強調しました。

 小野さんは、5年後、10年後に高齢化・過疎化がより進行する農山村の実態を示しながら、農地を集積していく取り組みを紹介しました。

 村上さんは、2ヘクタールの田畑を耕す自らの実践を踏まえ、家族農業の重要性を強調。多くの市民に理解を求めながら実践する農業として、(1)持続可能性(2)気候変動にも耐えうる(3)二酸化炭素を出さない――などの取り組みが必要で、「子どもたちに地域や農業を残していくことが求められている」と訴えました。


農民連、ザイナル氏と意見交換

 「アグリテック&フードテック・サミット」に参加し、日米貿易協定批准阻止の国会前行動の激励に訪れた国際農民組織ビア・カンペシーナのザイナル・アリフィン・フアトさんは11月21日、国会内で農民連の役員と国連「家族農業の10年」の問題で意見交換しました。

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ザイナルさん(右から3人目)を囲んで=11月21日、国会内

 農民連からは、笹渡義夫会長、長谷川敏郎副会長、吉川利明事務局長、齋藤敏之常任委員、岡崎衆史国際部副部長らが参加しました。

 自由貿易とたたかう課題では、ザイナルさんから、自由貿易協定に参加する国の農民同士の連携したたたかいの重要性が強調されました。さらに「家族農業の10年」「農民の権利宣言」を進めるために国連や他の国際機関、国際組織と連帯したビア・カンペシーナの国際活動が紹介されました。

 笹渡会長は、日本でいま取り組んでいる日米貿易協定批准阻止のたたかいや「10年」を進めるための「家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン」の活動を紹介しました。

 ザイナルさんは、「10年」と「権利宣言」のたたかいを結びつけることを強調し、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みと結んだ運動への期待を寄せました。

(新聞「農民」2019.12.9付)
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