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農民連の要請実り
台風被害支援策ワク広がる
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 今年、相次いで上陸した台風は全国の農林水産業に甚大な被害を与えました。農民連はこれまで、国に支援策を求めてきましたが、農林水産省は11月7日に支援策を公表しました。支援策の内容を紹介します。
 支援を受ける際には、被害状況のわかる記録を持って、まず市町村と相談することです。支援対策を十分理解していない自治体担当者も少なくありません。その場合は近くの農民連と相談し、対応しましょう。


支援策のポイント

 稲刈り後に被災 営農再開へ支援

 台風19号では収穫後の米が多数、浸水被害を受けました。農民連は農水省に収穫後の米被害に対する支援策を要求し、今年の台風被害にも2015年の茨城県常総市水害と同様の支援策が実施されることになりました。営農を再開するための土づくりや土壌診断などに必要な経費として10アールあたり上限7万円を支援するものです。

 申請の窓口は各自治体になります。近々自治体の被害額確定のための調査が行われ、年度内には支払われる予定です。被害数量を明確にして調査に備えましょう。

 要件として、今後、農業共済の建物総合共済(収容農産物補償特約)か、収入保険に加入することが必須となります。共済について詳しくは各都道府県の農業共済組合(NOSAI)までお問い合わせください。

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倉庫が浸水し、保管していた米2000袋がぐちゃぐちゃに(茨城県常陸太田市)

 ほ場に流入した稲わらの処分

 環境省の災害等廃棄物処理事業と連携し、撤去と集積所の運搬に1立方メートル当たり5000円の定額を支援します。集積所からは環境省の事業が無償で処分します。市町村に相談の上、稲わらの量がわかるよう、写真等の記録が必要です。

 農業用ハウスの支援策も前進

 台風で被災した農業用ハウスなど農産物の生産・加工に必要な施設の支援策は、今回の台風被害のなかで、さらに前進しました。

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濁流と土砂につぶされたハウス(福島県二本松市)

 図と表にあるようにこれまでと同様、解体、再建には国が最大5割の補助、都道府県や市町村と合わせて最大9割程度の支援が受けられます。

表 今年8〜9月の前線に伴う大雨
(台風10、13、15、17号の暴風雨を含む)、
台風19号による農業関係被害への支援対策
(農水省資料から抜粋)

 これに加えて、これまでは認められなかったハウスの補強も、補助事業の対象になります。補強分に関して、業者に発注して再建と同時に行う場合、強い農業・担い手づくり総合支援交付金が受けられます。自力で補強する場合も必要な資材の購入費用の半額が国から助成されます。

(新聞「農民」2019.12.9付)
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