新聞「農民」
「農民」記事データベース20191216-1389-06

子どもの健康のために
アメリカを変えたママの話

MAAのゼン・ハニーカットさんの講演会


画像  12月2日、東京都内で、愛する3人の子どもの「健康」を取り戻し、アメリカの食を動かしたマムズ・アクロス・アメリカ(MAA)のゼン・ハニーカットさんの講演会が、450席の会場を満杯にして開かれました。

 共感を力にしてNOモンサント

 パルシステム事業連合の松野玲子さんの開会あいさつのあと、ゼンさんは、アメリカのルイジアナ州ニューオリンズにある、全農の子会社「全農グレイン株式会社」が保有する巨大な穀物タンクをスクリーンに映し、「グレインは、世界一の穀物取扱量の会社です。日本の皆さんが、『全農』に『遺伝子組み換えの穀物は買わないでください』という時ではないでしょうか」と話を始めました。

 自分の子どもがアレルギーと自閉症で苦しんでいる原因は、食べ物にあるのではないかと、食事をオーガニック食品に切り替え、改善した体験から、「なぜ国は、遺伝子組み換え食品を許可したのか」と調査を始め、明らかになった一つ一つの事実をSNSで発信し始めます。

 バッシングも始まる一方で、共感の輪も広がります。ゼンさんは、それを励みに活動を続け、「NO(ノー)モンサント」「NO遺伝子組み換え農産物」を掲げた組織的なアピール行動に発展し、独立記念日に全米各地で一斉行動が取り組まれるまでになりました。

 遺伝子組み換え表示を求める運動は、スーパーなど小売店の店頭で、「これは、遺伝子組み換えの食品ですか」という質問を繰り返すことを通じて、MAAは独自に、遺伝子組み換えでないことや、農薬の検査済みなどを条件に3種類のゴールドカードを作り、そのカードを張る運動を始めます。

 GM栽培許さず日本の運動期待

 また、ゲノム編集技術に触れ、トランプ大統領が6月に発表した「ゲノム編集食品への規制を可能な限り撤廃する」ことや、「グリホサートの警告表示の中止」などを求めた大統領令を取り上げ、「安倍首相に、この要求を拒否するよう働きかけてほしい」と訴えました。

 最後に、「日本は遺伝子組み換え農産物の栽培を許可していない。この日本で、農薬まみれの遺伝子組み換え食品はいらない」という運動は、世界的にも大きな意味を持つことを指摘し、「今日参加した皆さんが、まず、スーパーやレストラン、学校給食で『遺伝子組み換え食品を使っていますか』と聞く運動を始めましょう」と呼びかけました。

 講演後の質疑応答で、「オーガニックの良さは分かるが高いのでは」という質問に、「3人の子どもの病気をオーガニック食品で治したことを考えると、高い医療費を払わなくなった分、トータルの支出は減った」と回答。

 「今までの活動で一番大変だったことは」との質問には、「モンサントの株主総会で発言したこと」だと話した後、「とても怖かったが、せっかく発言の機会を勝ち取ったのだから、すべての母親を代表するつもりで発言した」と回答。

 「多くの団体をどのようにしてまとめてきたのか」との質問には、「独立記念日のパレードは37の州の179地区にまで広がった。私たちは問題を指摘するだけではなくその解決策を示した。そして、どんな運動でも、ウェブサイトで発信し、みずから参加するイベントを心がけた」と答えました。

 会場では、ゼンさんの著書『UNSTOPPABLE―あきらめない』が販売されました。

(新聞「農民」2019.12.16付)
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