新聞「農民」
「農民」記事データベース20191216-1389-11

旬の味


 首里城が炎上し焼け落ちて1カ月が過ぎた。当座は信じられない気持ちで、やがて悔しい気持ちになった。テレビ新聞で大炎上の様を見せつけられた▼直後から首里城再建の声が挙がった。首里城のある那覇市には数日で3億円余の寄付が寄せられた。直後に開かれた地元の糸満市自治連絡員会では、市長へ首里城再建の寄付窓口を開設するよう要望する旨決議された▼地元の公民館では散歩をしているおばあさんに呼び止められて「市にかけ合って首里城募金をするように言ってちょうだい、お願いします」と言われた。テレビを見ていて涙がこぼれたとも言っていた▼地元の短歌会では多くの会員が首里城火災を歌題にあげた。一首、崩落つ大火の渦の首里城の画像に不意に涙湧き出ず。一首、沖縄の戦後復興象徴なる首里城焼失に悲しみ深く▼沖縄は日本に復帰して異民族支配から解放された。しかし今、民意を無視して辺野古の埋め立てを強行する日米政府に抗(あらが)う県民の心を結ぶ首里城、必ず再建する。

(牧)

(新聞「農民」2019.12.16付)
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