新聞「農民」
「農民」記事データベース20191223-1390-03

浜の一揆訴訟(さけ裁判)

仙台高裁で最終弁論
小規模漁民守る未来へ


 「浜の一揆訴訟(さけ刺し網漁不許可取消・許可義務付請求訴訟)」控訴審の最終弁論が、12月3日、仙台高裁(仙台市)で行われました。

 控訴審を通して原告団は、漁協による利益配分や民主的な合意づくりが行われていない状況などをより具体的に指摘してきました。また、今回の最終弁論では8人が陳述書を提出。民間の定置網やトロール漁を経営する有力者が漁協幹部という立場を通して県行政に働きかけ、小型漁船漁業者の利益を制限してきたことなどを述べました。

 裁判終了後の集会で藏桾ス原告団代表(岩手県漁民組合組合長)は「魚がとれず、たいへんな状況。なのに、海区委員会でも漁協幹部たちは危機感がない。みなさんの努力と多くの支援でここまで来た」とあいさつ。澤藤統一郎弁護士と澤藤大河弁護士は「一審は“行政の裁量”から出発し、県の主張を合理化するというひどい判決だった。今回はかなり押している。これを確信に漁師のたたかいを続けていこう」と呼びかけました。

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最終弁論終了後に行われた報告集会

 参加した漁師たちからは「裁判で言うべきことは語り尽くした。ここまでやれば悔いはない」という意気込みが語られました。あわせて、「政府がやろうとしている『改革』と同じで、小規模漁民つぶしの県行政に未来はない」と、新漁業法の問題にまで話が及びました。

 これに応えJCFU全国沿岸漁民連絡協議会の二平章さんは「日本の漁業者は94%が沿岸漁民。その多数派の要求が通らない現状を変えていこう。漁業法改悪についてのシンポを開催しよう」と提起しました。

 判決言い渡しは2月25日。浜の漁師たちはその先の漁業の未来を論議し始めています。

(岩手県農民連 岡田現三)

(新聞「農民」2019.12.23付)
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