新聞「農民」
「農民」記事データベース20200127-1393-01

農民連全国委員会開く

国連「家族農業の10年」で
食料自給率向上、農林漁業の再生、
農山漁村を蘇(よみがえ)らせよう

 農民連は1月16、17の両日、大会に次ぐ意思決定機関である全国委員会を都内で開き、43都道府県から、のべ100人が参加しました。


農業と農民運動を次世代に引き継ぐために
今こそ強く大きな農民連を

 家族農業が基本 行動綱領の精神

 笹渡義夫会長が開会あいさつ。昨年1月の第23回定期大会からの1年を振り返り、台風、豪雨など激甚災害が相次ぐなか、その都度被災現場に足を運び、激励と実態調査を行い、行政に救済と対策を求め、成果を勝ち取ってきたことを強調しました。

 消費税の10%への増税、日米貿易協定の発効など、安倍政権が国民、農民の願いに背く逆立ちした悪政を推進していると批判。解散・総選挙の可能性にもふれながら、国連「家族農業の10年」の推進、食料自給率の向上の課題を掲げながら、市民と野党が結束してたたかい、安倍政権を打倒することが、農業の再生、農山村の復権を実現し、地域を守る基盤をつくることにつながると指摘。

 農民連が結成以来、行動綱領で「日本農業の自主的発展と家族労働を基本とした農民経営の安定」を基本目標に掲げてきたことは、「家族農業の10年の精神に合致する」と述べました。

 農業・農村を愛する広範な国民と手を結び、運動を進めるためにも、「会員と新聞『農民』読者を増やすことによってその展望を切り開くことになる」と訴えました。

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春の大運動成功へ「ビバ! 農民連!」

 日米FTA反対 消費税の減税を

 吉川利明事務局長が常任委員会の報告を行い、日米貿易協定批准阻止、「家族農業の10年」の推進や豚コレラ(CSF)での予防的ワクチン接種、豪雨・台風被害で従来の枠を超えた支援策など農民の切実な要求を実現してきたことなど、この1年間のたたかいで、農民連への期待が高まったと強調。

 また、農業だけにとどまらず国民生活のさまざまな分野に影響を及ぼす日米FTA(自由貿易協定)の交渉入りを許さないたたかいとともに、「家族農業の10年」「農民の権利宣言」を力に農政の転換と地域再生の取り組みを旺盛に進めることを提起しました。

 農民連食品分析センターの活用による農産物総輸入自由化とのたたかい、戸別所得補償復活で安定した農業生産の実現、消費税の5%への減税、インボイス(適格請求書等保存方式)導入阻止のたたかいなど農家経営を守る取り組みを呼びかけました。

 最後に、1年間の仲間づくり運動の成果を踏まえた組織拡大の課題を提起。税対部員養成講座や学習決起集会などを力に足を踏み出し、「農民の苦悩あるところ農民連あり」の原点に立ち返り、広範な農家に呼びかけ、あらゆる要求で奮闘する必要性を強調しました。

 読者拡大では、「全国委員会に向けて、地域で増やしてきた」などの発言や、期間中に電話で拡大するなどの経験もありました。

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「強く大きな農民連を」と決意を固め合った全国委員会

 地域からつくるプラットフォーム

 討論では、30人が発言(文書発言が2人)。地域で「家族農林漁業プラットフォーム」を結成する課題では、昨年10月に結成した和歌山の宇田篤弘さんが「将来を見据え、地域をどうするかという夢と希望をもって、あきらめすに自ら当事者になるという自覚をもって進めよう」とアドバイス。千葉の越川洋一さん、香川の福井利夫さんが、地域で結成する意向を表明し、福島、奈良でも結成に向けた学習会・シンポジウムの開催を紹介しました。

 農民の要求を実現する課題では、CSFで埼玉の立石昌義さんが、野党共同で誕生した新知事に、ワクチン接種を要望したことや、千葉の山崎正子さんは、農水省との交渉を通じて「豚コレラ」の呼称を「CSF」に変えさせた成果を語りました。

 税金の課題では、山形の小林茂樹さんが、チラシなどで農民連が税金学習会に取り組んでいることを知らせる活動の意義を強調。奈良の水井康介さんは、なんでも勉強会の開催で出足早く会員拡大に取り組んでいることを紹介しました。

 SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みでは、千葉の小林由紀夫さんが、新日本婦人の会との産直運動が温暖化防止に貢献し、持続可能な地域づくりにつながることを紹介。北海道の山川秀正さんは、「家族農業の10年」の運動をSDGsとセットで取り組む必要性を強調しました。

 安倍政権打倒、市民と野党の共闘を発展させることでは、京都の安田政教さんが、京都市長選挙(2月2日投票)の意義と支援を求めました。滋賀の東野進さんは、農政連の役員が、「日米FTA反対に取り組まずに、どうやって農業を守るのか」と農政連をやめ、農民連に加入したことを報告しました。

 会員と読者拡大大運動で飛躍を

 討論のまとめで、吉川事務局長は、「消費税で仲間づくりを。今年の消費税の申告はとても難しい。ピンチを乗り越え、拡大のチャンスに、春の大運動では、必ず仲間づくりを成功させよう」と呼びかけました。

 最後に根本敬副会長が、「新しい社会を次世代に引き継ぐためにがんばろう」と閉会あいさつを述べ、「ビバ!農民連」の唱和で閉会しました。

 山形県農民連の小林会長が、台風・豪雨被害への県連からの救援募金を福島、宮城など被災地に手渡しました。

(新聞「農民」2020.1.27付)
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