新聞「農民」
「農民」記事データベース20200210-1395-02

持続可能な農と食めざす
シンポジウムを開く

福島県食健連


農家・消費者・研究者が
共に実践・議論する場を

 福島県食健連(国民の食糧と健康を守る福島県連絡会)は1月18日、二本松市で「持続可能な農と食をめざすシンポジウム」を開き、農家、消費者ら会場いっぱいの約200人が集いました。

 亀田俊英代表世話人が、「降雨が少なく春先の作付けが心配になるなど気候変動の影響もあるなか、2020年最初のこのシンポで『家族農業の10年』について一緒に考えましょう」と主催者あいさつしました。

 来賓あいさつでは、県農林水産部農林企画課の鈴木幸則課長が、県内で95%以上を占める家族農業について、「地域の農地、環境を守る役割を担っている。所得の確保、産地化などで多様な担い手が活躍できるよう取り組んでいきたい」と語りました。

 JA福島中央会の菅野孝志会長は、「貿易自由化の推進で農村は計り知れない危機に直面している。地域農業と資源を守っている小規模・家族農業が今後も営めるよう、今日のシンポを通じて新たな一歩を踏み出す機会に」と期待を寄せました。

 三保恵一・二本松市長からのメッセージが紹介されました。

 国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所のチャールズ・ボリコ所長が基調講演。SDGs(持続可能な開発目標)を進める国連の立場を表明し、その達成のために家族農林漁業が果たす役割について述べました。

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講演するボリコ所長

 特に飢餓と貧困の撲滅、気候変動への対応など家族農林漁業への期待が高まっていること、各国がその実践に向けて行動計画をたてることなどを呼びかけました。

 3氏がパネリストとして発言。家族農林漁業プラットフォーム・ジャパンの村上真平代表(全国愛農会会長)は、国連が「家族農業の10年」を提起したのは、「農業が変わらない限り、持続可能な世界はありえない」という強い決意の表れだと指摘。日本でもプラットフォーム・ジャパンの活動を大いに広げ、「対話のなかでみんなの問題として考えていきたい」と述べました。

 福島県有機農業ネットワークの浅見彰宏理事長は、生物多様性を守り、集落と地域の維持に大きな役割を果たす有機農業の推進と家族農業の振興の必要性を強調。「消費者とも交流しながら食について考える機会を各地に広げていきたい」と語りました。

 福島大学農学群食農学類の金子信博教授は、ミミズや微生物などの活動が土壌の健康、生物多様性に大きく貢献していることを紹介し、農薬・化学肥料の多投を批判。「保全的農業・有機農業を実践し、土の生きものの活動を利用することが持続可能な農林業に求められている」と訴えました。

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討論する(右から)浅見、金子、村上の各氏と根本会長

 会場からの質問に3人のパネリストがていねいに答えました。

 最後に、司会を務めた県農民連の根本敬会長が、「農家、消費者、研究者が手を結び、地域で持続可能な家族農林漁業を実践し、議論する場をつくってほしい」と呼びかけました。

(新聞「農民」2020.2.10付)
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