新聞「農民」
「農民」記事データベース20200217-1396-05

JCFU全国沿岸漁民連絡協議会
千葉県沿岸小型漁船漁協共催の
2020年新春のつどい

沿岸漁民の権利確立を
国連「家族農林漁業の10年」と
連帯して運動

千葉 鴨川


 今年結成5周年を迎えるJCFU全国沿岸漁民連絡協議会と千葉県沿岸小型漁船漁協共催の「2020年新春のつどい」が2月1日、千葉県鴨川市で開催され、北海道から沖縄まで90人の沿岸漁民が参加しました。

 主催者を代表して、JCFU共同代表の宮崎義則・対馬ひき縄漁業協議会会長(対馬美津島漁協)は「クロマグロ漁獲規制やスルメイカ資源の減少、新漁業法の施行など沿岸漁民をとりまく課題は多い。JCFUとして今年もがんばろう」とあいさつしました。

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新春のつどいであいさつする宮崎共同代表

 来賓として岩田勉・和歌山県すさみ町長、栗原澄子・日本の伝統食を考える会東京連絡会代表、紙智子参院議員(日本共産党)があいさつし、逢坂誠二衆院議員(立憲民主党)の祝辞が紹介されました。

 二平章JCFU事務局長は基調報告で、「昨年は小規模農漁民のための政策づくりを加盟各国に求める国連『家族農林漁業の10年』がスタートした。これを記念して、JCFUは『食と漁の地域未来フォーラム』を全国4カ所で開催した。長崎県対馬市ではマグロ漁民と消費者の大交流集会、香川県丸亀市と岩手県陸前高田市では新漁業法問題、青森県大間町では全国クロマグロ漁師サミットを開催し、どこも地元漁民・組合役員はもちろん首長、議員、地元経済界の皆さんも集まり盛大な催しとなった」と紹介しました。

 さらに「今、沿岸漁民を苦しめる3つの課題として、(1)企業まき網優遇のクロマグロ漁獲規制問題、(2)大臣許可のまき網・底びき網漁業による資源減少下のスルメイカの多獲問題、(3)新漁業法による地域・漁協・漁民いじめ問題がある。国連『家族農林漁業10年』の国際的な運動と連帯しながら全国1万1千人の会員とともに沿岸漁民の未来づくりをめざし、力を合わせていこう」と呼びかけました。

 各地からの報告では、青森県三沢漁協の蛯名勉さんが「八戸沖では企業の大型まき網と沖合底びき船が小型釣船と同じ漁場でイカ操業し、小型釣船は生活が成り立たない。沖合底びき船は八戸前の漁獲枠を使い切ると他海区の割当を持ってきて八戸沖で集中操業し、小型イカ釣船の解禁前に10センチのチビイカまで大量に水揚げしている。沿岸漁民は苦しんでいる」と報告しました。

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イカ問題を訴える蛯名・青森県東部小型いか釣協議会長

 クロマグロ漁獲規制問題では対馬美津島漁協の宮崎さんが「企業まき網に大幅枠を与え、沿岸船への漁獲枠は少なく1隻年間32万円にしかならない。これでは生活できない」、青森県大間漁協の古川明裕さんは「漁獲枠規制で安価な夏場は操業自粛し、冬場のマグロを待ったが来遊がなく、漁獲が減少。今の規制では安心して漁業ができない。漁獲規制で浜は活気がない」、沖縄八重山漁協の高橋拓也さんは「小さな漁獲枠でマグロがいても釣れない。はえ縄にかかったマグロを逃がすが漁具被害が大きい」と浜の実情を訴えました。

 JCFUではこれらの要求を受けて、引き続き各地で地域フォーラムを開催するとともに、今春に水産庁交渉、夏に国会内で沿岸漁民フォーラムを開催。全国統一要望書を国会議員と農水省、全漁連へ提出することにしています。

(新聞「農民」2020.2.17付)
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