新聞「農民」
「農民」記事データベース20200224-1397-01

農民連青年部第28回総会

自然資源を大切に使う
家族農業

 農民連青年部は2月8、9の両日、第28回総会を東京都内で開催し、約30人が参加しました。


持続可能な社会を作ろう

 特別企画には、国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所のチャールズ・M・ボリコ所長と家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン常務理事の斎藤博嗣さんを招いて、「家族農業の10年」について学習しました。

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ボリコ所長を囲んでパチリ!!

 FAOボリコ所長が講演

 ボリコ所長はFAOが持続可能な開発目標(SDGs)の達成で重要な役割を果たしていることを紹介。「マラリアや結核、エイズの死者より飢餓で亡くなる人の方が多く、SDGsの達成には飢餓問題の解決が不可欠。飢餓の要因は気候変動と紛争で、食品ロスの問題も深刻。廃棄食品から発生する二酸化炭素は中国とアメリカに次ぐ排出量に相当する。自分たちで未来を悪くしており、食品廃棄を簡単に考えないでほしい」と呼びかけました。

 なぜ今家族農業なのかについてボリコ所長は「自然資源を大切に使う家族農業だからこそ、気候変動の悪化を防ぎ、持続可能な社会を作れる」と自らの若い時の経験も交えて説明。「どんな弱い立場の家族農業も国連は助けなければなりません。そのためには知識の共有と教育が重要です」と話しました。

 質疑では「FAOから客観的に見た日本農業の現状はどうか」「大規模企業的農業の評価は」など様々な質問が出ました。

 環境教育の最前線に立つ

 「農民の権利宣言や『家族農業の10年』は土と共に暮らしてきた先人たちの英知に立ち返れというメッセージだと思う」という斎藤さんは2005年に東京都板橋区から茨城県阿見町に新規就農で移住しました。「家族農業こそ大いなる学びの場」ととらえ、不耕起・無農薬・無肥料で自給自足型農業を実践しています。

 家族農業は「家族とともにある農業」と定義する斎藤さんは、「FAOの事務局長は『家族農業以外に持続可能な食糧生産のパラダイムに近い存在はない』と言っていますが、日本では家族農業が大事にされていません。若い人たちに農村のイメージのアンケートを取るとたくさんのマイナスイメージが出てきました」と話します。

 それに対し斎藤さんが願う農村の未来像を「本質的な教育がある」「生涯現役」など10個にまとめ、「その実現には家族農業の持つ力が欠かせないと思っています」と家族農業の大切さを強調。「私たちは地球を救う最後の世代。毎日土に向かっている百姓は、環境教育の最前線に立っている」との思いで、日々周りにダジャレを交えて発信している内容を紹介しました。

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分析センターも見学しました

 食糧と国土守る仲間を増やそう

 その後のグループディスカッションでは「消費者にも問題意識を持ってもらうために教育が重要」「家族農業を残すためにベーシックインカム(基本的収入)の導入も必要では」「就農希望者は増えているのに農業者は増えていない。希望者と現場をマッチングできる組織に農民連がなってほしい」などの意見が出されました。

 2日目の総会では「普段の農作業を発信して、一緒に食糧と日本国土を守ってくれる仲間を増やそう」と青年部組織を広げる方針を参加者全員で採択。奮闘する決意を固め合いました。

 また総会では、農民連の藤原麻子事務局次長と全商連(全国商工団体連合会)青年部協議会の根本遼事務局長、全労連青年部の森彩香常任委員、日本民主青年同盟の青山昂平中央常任委員が連帯あいさつを行いました。

 主な新役員は次の通り。部長=平間徹也(再、宮城)、副部長=山村聡(再、群馬)、事務局長=渡辺信嗣(再、本部)


総会での発言から

福島県須賀川市の奥井地洋さん

 新規就農して丸2年。親は農家ではなく自らの意思で就農しました。1年目に農業次世代人材投資事業の申請をしたら、研修中に準備型をもらっていた経験もあるにもかかわらず、須賀川市は「就農後、1年経過しないと開始型を受け付けない方針」と言い、門前払いをしました。

 市の勝手で国の政策をゆがめるのはどうなのかと、農業普及所に相談に行っても一人だったので「市の方針だから」と相手にされず、泣き寝入りをしていました。就農1年までもう少しの時期に、須賀川農民連の飲み会で相談したところ、農業委員が一緒に市に話をしてくれ、無事に1年目から申請ができました。

 一人で話をしたら、またはぐらかされたと思います。もっと早く相談しておけばよかったと思うし、これから就農する人がスムーズにできるように、農民連が働きかけられたらと思います。

寄せられた感想

渡辺茂淳さん(44=東京都杉並区)

 私はサラリーマンなのですが、食・農業の重要性に気付き、将来農家になろうと思っています。その参考になるのではと参加しました。

 まずはFAOのボリコさんのお話で、機関の存在、活動などを初めて知り、食生活に対して色々な活動されていることに感動しました。

 ただ、世界規模での活動であり、その地域に応じて問題が多様化してしまい、それぞれの実情に合った具体的な解決策を提案するのが、大変ではないかと思いました。

 ただ、できることの活動をすることだけでも大変重要で、意味のあることだと感じています。

 斎藤さんのお話では、まず生活自体が、家族一体となって自給自足を基本として、あとは少しの収入でやっておられて、理想の、たくましい家族の生活を実践されていると感じ、大変勇気づけられました。

 自然と共に生活し、環境にやさしい人間の本来あるべき形を提唱されていると思いました。

 それに加えて、そういった意識を国内だけでなく国際規模で広めていくために、様々な活動をされていると知り、できることなら、私たち自身も見習わなければならないと思いました。

 今後は、私たち国民個々の考え方が社会を左右していくと思うので、まずは自分たちが生活を実践して、後に生活の形の一部として、提案していこうと思いました。

 農家の方々と色々お話しできて良かったのが、自然、土壌に対しての負担と、生活に関わる収入とのバランス、価値観(消費者も含む)が解決しなければならない一番の問題だと予想以上に感じたことでした。

(新聞「農民」2020.2.24付)