新聞「農民」
「農民」記事データベース20200309-1399-07

農民の種子を企業のもうけにするな
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「種苗法」が改定されたら

 食糧と農業の根幹となる種子や苗の開発・利用について定めた「種苗法」の改定法案が、今国会に上程される見通しです。

 種や苗をめぐっては、主要作物(米、麦、大豆)の種子の開発と安定的供給に関して行政の責任を定めた「主要農作物種子法」(一昨年4月に廃止)と、すべての農作物の登録品種について種苗育成者の権利保護を定めた「種苗法」があります。

 国は、今回の「種苗法」改定の背景として、ブドウのシャインマスカットなど日本で開発された優良品種が海外に持ち出され、栽培されていることを問題視し、今回の種苗法改定に「自家増殖の原則禁止」を盛り込もうとしています。

 「自家増殖」とは、購入した種子や苗を利用して育て、収穫したものの中から、形状や品質の良いものを選んで、翌年の種や苗として再利用することをいい、現在は「原則自由」で、農家で広く行われています。

 種苗の品種には、独自の特性を持った品種として「登録」して25年(果樹は30年)以内の品種を「登録品種」、在来種やこれまで登録したことのない品種、及びコシヒカリなど登録期限の切れた品種を「一般品種」と区別しています。

 今回の「種苗法」改定は、「登録品種」に限って「自家増殖」を「原則禁止」とし、自家増殖する場合は、育成者にお金を支払う「許諾制」にしようというのです。

 国は、「コシヒカリを始め、流通している品種の多くは一般品種で、今回の種苗法改定で自家増殖禁止にするのは登録品種だけだから、ほとんどの品種はこれまでどおり自家増殖できる」と説明しています。現在国は、登録品種も自家増殖を認めていますが、「種子法」廃止の議論と並行し、省令で、自家増殖禁止の対象を増やし(図参照)、さらに、種子の販売時に「契約」によって、自家増殖を禁止する品種も増やしています。

 何より、農民の自家増殖を制限するという今回の種苗法改定は、「種はみんなのもの」という種子の公共性を根本から覆し、種子のアグリビジネス化へと道を開く大改悪です。

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消費者と一緒に在来種を種とり(埼玉産直センター)

(新聞「農民」2020.3.9付)