新聞「農民」
「農民」記事データベース20200608-1411-08

朝市、レストラン出荷、
イベント出店が軒並み休業・中止
里山弁当も大打撃

農事組合法人「みんなで」
コロナで売り上げ4分の1に

奈良県農民連 北和センター
森口いち代さん


地域と互いに支え、支えられ

 「農家も消費者も一緒に、みんなで農業を守ろう」と、農事組合法人「みんなで」(奈良市)を立ち上げて3年目、事業としての運営の厳しさを感じながらも、より地域や消費者と密着した活動をめざして組合員が力を合わせてきたところでの、今回のコロナ禍でした。

 病院や診療所の玄関先で毎週開く「出張朝市」は、それぞれの地域の買い物が困難な方や、安全な農産物を求める消費者とともに歩んできましたが、3月からすべて休業となり、その他カフェやフィットネスクラブ、ダンス教室などでの販売も中止になりました。

 また「みんなで」が農産物を宅配便で送っていた都市部のこだわりレストランは廃業や休業に追い込まれ、アースデイなどのイベント出店、子どもたちが楽しみにしているイチゴ狩りなどもすべて中止となりました。

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休業前には多くの人が訪れていた病院前の出張朝市

 奈良県産農産物100%の里山弁当は、新日本婦人の会の小組活動や班会、各種団体の総会・理事会、お花見ツアーなどに繰り返し利用していただいていました。新婦人のメンバーの中には「私は里山弁当30回くらい食べたよ」というお母さんも。人が集うところには農民連のお弁当がありましたが、その集いも中止を余儀なくされました。

 国の持続化給付金申請のため、計算してみると、前年の3、4月度の売り上げは、合わせて約300万円でしたが、今年度はその4分の1に落ちこんでいました。経費削減をしながら、何とかもちこたえ、生産者の支払いを確保してきました。

日本の大地での生産、
消費の大切さ再認識

 朝市や農業体験を対策講じ再開

 2カ月間の出張朝市の休業は、消費者の生活にも影響を与えました。出張朝市の販売担当者にはお年寄りからの窮状を訴える電話が相次ぎ、連休明けから、混雑に配慮しての販売が始まりました。また、他の朝市グループでは時短ではなく、朝6時からの開店で開店時間を長くし、お客さんを分散させながら販売を続けています。

 ラインやSNSのつながりを生かした野菜の注文販売が喜ばれ、また病院内売店での日替わり弁当・こども食堂への供給なども里山弁当の新たなファンをふやしています。

 新婦人の皆さんとの大豆トラスト・米プロジェクトなど農業体験も感染対策を万全にして、実施することになりました。

 今回のコロナ禍では、「みんなで」の産直運動がいかに密接に地域や消費者の皆さんとお互いに支え、支えられていたかということ、そして、農家も消費者も「みんなで」日本の大地で食糧を作り供給・消費することの大切さを再認識させられました。

 コロナ肺炎やそれに伴う生活基盤の崩壊で命を落とす人が一人でも少なくなることを願い、粘り強くがんばりたいと思っています。

(新聞「農民」2020.6.8付)
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