グリホサートの規制・禁止は世界の流れ
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ラウンドアップは環境にやさしい?
生物への影響示す研究次々発表
グリホサートの生物や環境への影響が注目され始めたのは2012年のフランス・カーン大学のセラリーニ教授らによる論文がきっかけでした。「ラウンドアップやラウンドアップ耐性の遺伝子組み換え(GM)を投与されたマウスに腫瘍(しゅよう)ができ、死亡した」という報告は、「自然環境内では分解され、人体にも安全」と言われていたグリホサートの安全性に大きな疑問を投げかけました。
同論文は遺伝子組み換え推進団体の反論で一度雑誌への掲載が取り消されました(後日、他誌で再掲載)が、この論文以降グリホサートの研究報告が増えていきます。
ホームセンターにあふれるラウンドアップなどのグリホサート製品 |
腎臓病を引き起こし発がん性も
14年2月にはスリランカの研究者が、土壌や化学肥料中のヒ素や重金属とラウンドアップの複合体が重度の慢性腎臓病を引き起こすと発表、15年3月には国際がん研究機構(IARC)がグリホサートを「ヒトに対する発がん性が恐らくある」とするグループ2Aに分類。19年2月には高い濃度のグリホサートが非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫の一種)のリスクを増加させることも報告されました。
子どもの発達や生殖にも異常が
発がん性だけではありません。生殖や子どもの発達に影響を与えることも報告されています。19年にカリフォルニア大学などの研究グループが出生前にグリホサートなどの農薬にさらされることが、子どもの自閉症スペクトラム障害と関連しているとする研究結果を発表しました。
今年に入っても千葉大学のグループが、グリホサートのパーキンソン病や自閉症発症への影響を指摘しています。
18年3月にアメリカでは、グリホサートにさらされた妊婦の妊娠期間が短くなると報告され、今年7月にはアルゼンチンの研究グループが、グリホサートやその製剤が受精卵の着床異常に関連していると報告するなど、生殖機能への影響も懸念されます。
こうした中、国際産婦人科連合は19年7月に「グリホサートは全世界で、段階的に使用をやめるべき」と勧告を出しました。
ミツバチへの悪影響も
また、重要な花粉媒介者であるミツバチへの影響も明らかになりつつあります。ブエノスアイレス大学の研究チームが18年と19年に報告した研究では、グリホサートがミツバチの学習能力や認知能力、感覚能力に悪影響を与え、群れの維持を脅かすことが指摘されています。また18年には中国とアメリカで、それぞれミツバチやその幼虫の腸内細菌にグリホサートが悪影響を与えるという研究が報告されました。
グリホサートはさらされた世代が直接影響を受けるだけでなく、次の世代やその次の世代にまで影響を与えることも研究が発表されています。微量ではあっても、食品からの摂取には十分警戒が必要です。