新聞「農民」
「農民」記事データベース20200921-1425-09

自民党政治を
大本から転換する
新しい政治を
(1/2)

関連/自民党政治を大本から転換する新しい政治を(1/2)
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 7年8カ月におよんだ「安倍政治」は、戦後最悪の政治の連続でした。安倍政権は、憲法違反の安保法制=戦争法を強行成立させたことをはじめ、立憲主義、民主主義を踏みにじる暴政を続けました。2度の消費税増税で暮らしと経済を痛めつけ、さらには森友・加計学園、「桜を見る会」疑惑などの「国政私物化」問題で政治モラル崩壊は極限に達し、国民の信頼を失いました。
 二度と繰り返させてはならない「安倍政治」ですが、自民党総裁選のなかで起きているのは「安倍政治」礼賛、継承の大合唱です。行き詰まった道を「この道しかない」と暴走せざるをえない自民党政治。行き詰まりと袋小路ぶりは明白です。
 “続・安倍政権”を許さないために、図表を使って「安倍政治」を断罪・総括します。


国民は貧しく、
大企業は大もうけ、
日本経済はお先真っ暗

 戦争する国づくり

 数十万の市民が徹夜で国会を包囲するなか、自民・公明・維新が自衛隊の海外での武力行使に道を開く戦争法を強行成立させたのは2015年9月。安倍政権のもとで、大軍拡は急速に進みました。トランプ政権の要求にこたえて、最新鋭戦闘機や陸上ミサイル攻撃システムなどの攻撃型兵器の「爆買い」によって、防衛費(軍事費)は8年連続で増加し、増加額は6000億円に達しました(1)。

 対照的なのが農林水産予算。1980年には3・6兆円で防衛費2・2兆円の1・6倍でしたが、2013年には防衛費の半分、20年には4割まで落ち込みました。

 もうけたのは大企業と富裕層だけ

 安倍前首相や菅新首相が「偉大な成果」と誇るアベノミクス(安倍政権の経済政策)。もうけたのは大企業と富裕層だけ、「成果」どころか、国民は貧しく、日本経済はお先真っ暗の結果をもたらしただけです(2)。

 安倍前首相は「輪転機をぐるぐる回し、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう」と公言し、政権交代を果たしました。

 無制限に刷ったお札を使って安倍政権が日銀にやらせたことは、(1)株を買い支えさせて株価を引き上げたこと、(2)赤字国債を無制限に買い上げさせたことの二つでした。

 大企業と富裕層は内部留保と株高で大もうけしました。大企業が貯めこんだ内部留保は国内総生産(GDP)に匹敵するほどの巨額に達し、2・4倍に上昇した株価は大企業と富裕層を潤しました。

 一方、国民の暮らしはどうか――。1人あたりGDPは世界15位から26位に転落し、賃金も稲作農家所得も10%以上落ち込みました。14年には米価は手取り1万円以下まで暴落しました。

 実質成長率は、民主党政権時代の1・8%に比べ、安倍政権時代は1・0%にすぎません。「経済は民主党政権時代に比べて格段に成長した」という安倍・菅氏の自慢はウソっぱちです。

画像
中山間地域の稲刈り。長谷川敏郎さん(島根県邑南町)

 その結果、日本経済はお先真っ暗です。日銀が買いまくった国債は530兆円で国債残高の半分以上。日銀が保有する株は34兆円で、年金積立金を含む「公的マネー」が“筆頭株主”の企業は40%に達しています。日本企業の4割は準国営企業のようなものです。

 日銀や年金管理機関が保有する国債や株は、いつかは売りに出さなければなりません。

 しかし「売りに出せば市場の暴落を招くので売るに売れない。出口のないネズミ講に陥っている」(金子勝立教大教授)状態であり、「日本経済沈没」につながりかねません。アベノミクスの罪は深いといわなければなりません。

 コロナ検査は世界で159位

 これを新型コロナ・ショックが襲いました。安倍政権は「アベノマスク」「Go To トラベル」などの行き当たりばったりの対策に右往左往する一方で、肝心の検査は決定的に立ち遅れ、日本のPCR検査の人口比での実施数は「世界で159位」(アメリカのウェブサイト「ワールドメーター」)。

 菅官房長官は総裁選の公約に「自助・共助・公助」を掲げています。つまり基本は自己責任、次にまわりに助けてもらえ、それでダメなら国が面倒を見るというわけですが、「自助」ではどうにもならないコロナ危機の真っ最中に、こんな公約を掲げる――救いがたい新自由主義路線です。

(新聞「農民」2020.9.21付)
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