新聞「農民」
「農民」記事データベース20201019-1429-04

連載

もうゴメンだ!安倍・菅農政
(2)

今こそ最悪の農業つぶし政治の転換を


内実は「菅・安倍農政」より
悪賢く、より強権的に

 毎日新聞は、安倍政治を「まんじゅう」にたとえ、「皮」を安倍首相と側近が作って飾りたて、肝心の「あん」(政策)作りは「菅氏が差配」したと評しています(9月5日)。山田正彦元農水相も「官邸で中心的役割を担ったのは安倍首相ではなく、菅官房長官だった」と指摘しています(赤旗9月21日)。

 「安倍・菅農政」――内実から言えば「菅・安倍農政」――は、何をしてきたのか、何をしようとしているのか。

 やってきたのは、家族経営を守る農業政策を「既得権益」「岩盤規制」と非難し、これらを破壊する悪政の数々でした。

 (1)家族経営を追い出し、企業などに農地の8割を集中させる。

 (2)家族経営の協同組合である農協をつぶす。

 (3)米の生産調整を農家の自己責任にし、米価暴落を促進する。

 (4)命の源である種子を大企業に明け渡す。

 (5)農産物の輸入を完全に自由化し、食料自給率を引き下げる。

 菅氏らが悪政を強行するためにとったのは、財界代表や“お友達”を寄せ集めた官邸直属機関に極端な政策を打ち出させ、脅しと駆け引きで目標を勝ち取るという悪賢いやり方でした。

 安倍政治以上に強権、冷酷非情

 浜矩子・同志社大教授は菅首相を「奸佞(かんねい)首相」だと手厳しく批判しています(サンデー毎日)。「奸佞」は「根性が曲がっていて悪賢いこと」。

 日本学術会議の人事に介入し、学問の自由と国民の権利の侵害を行ったうえ、「批判は当たらない」と開き直る菅氏にピッタリの言葉です。

 菅首相の二枚看板は「安倍政権の継承・発展」と自己責任の押しつけですが、菅氏が「発展」させるのは、より悪賢く、より強権的に悪政を強行することです。

 まず“農業つぶし三羽烏”と談合

 これを象徴するのは、菅氏が所信表明もやらずにイの一番に、経済財政諮問会議や規制改革推進会議、産業競争力会議など官邸直属機関のメンバーを務め、“農業つぶし三羽烏”というべき3人の人物に会ったこと。

 ◆竹中「中山間地農業は無駄」

 竹中平蔵氏(人材派遣大手パソナグループ会長)は「中山間地に人が住んで農業をするから、無駄な行政をやらなければならない。原野に戻せ」と言い放った人物です。官邸直属機関の常連で、竹中総務相時に菅氏が副大臣を務め、両氏は“新自由主義の師弟関係”というべき間柄です。

 ◆新浪「米価を下げろ」「企業進出を認めろ」

 新浪剛史氏(元ローソン社長)は、おにぎりと農業進出に注力していたローソンの利益のために「米価を下げろ」「企業進出を認めろ」と、恥ずかしげもなく主張した人物(13年9〜11月、産業競争力会議農業分科会)。

 同氏は「3年後に生産調整を廃止する」「米の戸別所得補償を即時廃止する」ことを主張して、米の生産調整を農家の自己責任にし、戸別所得補償廃止と米価暴落を促進した立役者です。また、新浪氏は「農地は集落のものという考えを乗り越えて、民間企業が農業に入りやすい仕組みにすべきだ」として、農地バンク法成立や農地制度改悪をリードしました。

 ◆金丸「農協つぶし」と「種子法廃止」

 金丸恭文氏(フューチャー会長兼社長)は「規制改革は菅氏の差配で動いており、金丸氏は名代と言っていい立場だった」人物(官邸関係者)。

 同氏は規制改革推進会議中枢として、農協に対し(1)共同販売・共同購入・信用事業からの撤退、(2)全農の解体と「第二全農」づくり、(3)准組合員制度に対する規制という脅しを突き付け、与党との政治的駆け引きで妥協をはかる猿芝居を演じた中心人物。また、農水省に主要農作物種子法(種子法)廃止を提案させ、まともな議論なしに廃止に持ち込んだ張本人です。

 「菅農政」の青写真

 談合を通じて、「菅農政」が描く青写真は何か――。菅政権は携帯料金値下げなど、てっとり早い成果を急ぎ、全体的なビジョンを示しておらず、具体的な言及は農産物輸出ぐらいです。

 しかし、安倍政権発足直後の13年2月18日、竹中・新浪氏らが産業競争力会議に提出した意見書が青写真の原型と見てよいでしょう。

 それは、(1)食料自給率にこだわるのをやめて輸出農業に特化し、10年後に農産物輸出額世界第3位をめざす、(2)10〜15年後に経営規模50ヘクタールを実現する、(3)一般企業の農業参入を全面的に自由化する、(4)中山間地農業をつぶすというものです。

 これは中山間・平場の農村から家族経営を根こそぎ追い出し、自給率を大幅に引き下げて、食料の海外依存をさらに強めるという宣言です。ここには、コロナ禍で大問題になっている都市と農村の過密・過疎、異常に低い自給率を解決する展望は全くないといわなければなりません。

(つづく)

(新聞「農民」2020.10.19付)