新聞「農民」
「農民」記事データベース20201026-1430-05

連載

もうゴメンだ!安倍・菅農政
(3)

今こそ最悪の農業つぶし政治の転換を


農村から菅政権打倒の火の手を
大きく前進 国民と野党の共闘

 「安倍・菅農政」に農協組合長96%が反対

 「安倍・菅農政」は農業関係者の強い反発を受け、特に2019年1月の全国農協組合長アンケートでは、安倍農政を「評価しない」が96%、「官邸主導の農政決定」に対する批判は94%に達しました。

 同紙が10年前(09年1月)に行ったアンケートでは「農政を信頼しない」は49%。これが96%にはね上がったのですから、農産物輸入の自由化、農業・農協つぶしを狂ったように進める安倍農政に対する不信と批判は史上空前の規模といってよいでしょう。

 また、16年、19年の参院選で、野党は32の1人区で全部共闘し、16年は11で、19年は10で自民党を打ち破りました。

 こういう批判を抑えこむために、菅氏らは悪賢いやり方を強行しましたが、悪政は道半ばで破たんしました。

 破たん明らか農政改革

 象徴的なのは農協つぶし、農地制度解体、主要農作物種子法(種子法)廃止です。

 (1)信用事業を続ける単位農協を3年で半減させ、農協の総合事業を解体して、農協マネーを内外の大企業に牛耳らせることをねらいました。しかし、信用事業を手放したのはわずか5農協にすぎず、99%の農協が維持しています。

 また、全国農協中央会(全中)の全組合員調査では、来年「見直し」が予定されている「准組合員」の事業の利用制限に反対が9割、総合事業継続支持も9割にのぼっています。

 家族農業経営の自主的な協同組合である農協組合員の意思は明確です。菅政権は協同組合に対する介入をきっぱり断念すべきです。

 (2)一般企業の農業参入の全面的自由化への突破口として、国家戦略特区(兵庫県養父市)で株式会社の農地所有解禁が強行されましたが、実績はわずか1・6ヘクタール。菅氏の人脈で参入した企業は早々と撤退しました。

 (3)規制改革推進会議に突然持ち出され、半年で廃止が強行された種子法。野党が共同で「種子法復活法案」を国会に提出し、都道府県議会では自民党を含む超党派で種子法を復活させる「種子条例」が22道県で制定され、なお4県で運動が進んでいます。種子事業を行っている道府県の半数以上が種子法廃止に「ノー」を突き付けているのです。これは官邸農政に対するかつてない一大反乱というべきです。

 野党連合政権の備えはできつつある

 「いいこと」が一つもなかった安倍政治のもとで、国民と野党の共同が大きく前進したことは、最大の「いいこと」でした。5年前には一致できなかった原発ゼロや、消費税引き下げ、農産物輸入自由化協定反対など、野党の政策的一致は大きく広がっています。

 市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)は9月19日、「立憲野党の政策に対する市民連合の要望書」を立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社民党など立憲野党に提案しました。

 これは昨年の提案を豊かに発展させ、「憲法に基づく政治と主権者に奉仕する政府の確立」「利益追求・効率至上主義(新自由主義)の経済からの転換」など、菅政治に代わる野党連合政権の「総合的な政策体系」を示したものです。

 特に農業分野では「持続可能な農林水産業の支援」をかかげ、戸別所得補償の復活と食料自給率を50%に引き上げることを明記しています。

 「次の総選挙で政権交代を実現する」(立憲・枝野代表)、「菅政権を倒し、“オール野党”で連合政権を実現する」(共産・志位委員長)――野党はやる気満々です。

 新型コロナウイルスの感染から営農と地域を守れ、米価暴落阻止、消費税減税などの要求を掲げ、市民と野党の共闘を発展させ、菅政治に代わる野党連合政権の実現をめざして奮闘するときです。農協組合長の不信と批判、官邸農政に対する地方からの反乱……。農村から火の手をあげようではありませんか。

(おわり)

(新聞「農民」2020.10.26付)
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