新聞「農民」
「農民」記事データベース20201026-1430-10

種子を企業に明け渡す
種苗法改定案は廃案に
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「種子は公共(みんな)のもの」だからこそ
環境変化に適応する力に

 そもそも種子は誰のものでしょうか。種子は農耕が始まって以来、より作りやすくよりおいしいものに育てたいという人類のたゆまぬ努力と、地域の自然環境に育まれてきました。

 「食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約」(ITPGR)の前文は「植物遺伝資源が、作物の遺伝的改良に欠かせない原材料であり、並びに予見することのできない環境の変化及び将来の人類のニーズに適応するため」に種子が重要だと確認しています。

 ところが、政府は一部の多国籍企業の要求にもとづいて、日本でも新品種の「育成者権」を強化しようと、種苗法改定を提案しています。

 特に種子・農薬企業が近年開発した遺伝子組み換え種子は、農耕地の劣化や環境汚染、さらには、環境への対応力の弱さ、何よりも食料生産にとって最も大事な安全性と安定性に大きな問題が指摘されています。それにもかかわらず企業は肥料と農薬をセットにして、農民の生産技術までをも抱えこむ種子開発を進め、その種子の育成者権が強化されようとしています。

 同時に、農民の「自家増殖」も全面的に禁止しようとしています。

 「予見することのできない環境の変化及び将来の人類のニーズに適応」(ITPGR)することができるのは、農民の自家増殖です。これは、歴史が証明しています。

 今年1月に登録・出願が受理された、秋田県大館市の畠山和夫さんの新品種は「あきたこまちに比べ3割増収が望めるほか、倒伏しにくいのが強み。弾力のある食感や甘みも特徴」だといいます。

 この新品種は、15年前に畠山さんが自分の田んぼでたまたま見つけた突然変異の穂を、県の農業試験場などのアドバイスを受けながら選抜を繰り返し、固定した品種です。この育種ができたのは、自家増殖が可能だったからであり、県の試験場の協力があったからこそです。

画像
小麦の育種選抜風景(群馬県農業技術センター)

 公的種子事業が原種特性を維持

 種子は環境や交雑によって変化します。固定した品種の特性を守るには、こうした変化を排除する必要があります。

 お米は、その特性を守る原原種の生産を各都道府県の農業試験場で行うことが、主要農作物種子法(種子法)で定められていました。

 その生産は「雑穂を0・01%までにする」厳しい基準にもとづいています。それを守るには、穂の出た真夏の田んぼの中を慎重に歩き、雑穂を抜き取る作業が不可欠です。こうしてこそ純粋な特性が守られます。

 このように品種特性を守る重要な役割や、新品種の開発を担ってきた種子事業の公共性を守るために、種子法廃止後に、独自の種子条例が22道県で制定され、さらに4県で条例制定の審議が進んでいます。

 大きく広がる種子法復活の運動とあわせて、公共財である種子を多国籍企業に開放する種苗法改定反対の運動を急速に広めましょう。

(新聞「農民」2020.10.26付)