種子を企業に明け渡す
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法改定で海外流出は防げない
海外での品種登録こそ唯一の防止策
寄稿
日本の種子(たね)を守る会アドバイザー
印鑰(いんやく)智哉さん
日本の種苗の海外流出を防ぐために国内の農家の自家増殖を規制しなければいけない、というのが種苗法改定の説明の中でもっとも論理性を欠いている点で、いわば、国内の農家が海外に流出させているということになりますが、その実例は示されていません。最近も36品種が中国や韓国で無断流通、だから種苗法改正が必要だ、とする報道が流れました。しかし、種苗法を改定しても種苗法は国内法に過ぎず、すでに海外に流れてしまった36品種をどうすることもできないのです。
要するにこの海外流出論は、人びとから反発を受けそうな自家増殖規制から目をそらすための煙幕として無理矢理立てられた後付けの説明でしかありません。海外で無断使用されないためには海外で品種登録をするしかない、と農水省の知財課も2017年に言っていたのではないでしょうか?
今や新品種登録数では日本は中国や韓国にも追い越されました。その原因は政府が農家を減らす政策を進めたことです。
その上に種苗法改定でさらに農家から搾り上げれば農家がさらに減るでしょう。地域の種苗会社もさらに追い詰められることになります。
その一方で、日本に品種登録される種苗の中で外国法人によるものが急激に増えています。17年に日本で新規登録された種苗の36%が外国法人によるものです。一方、ここ10数年で地方自治体の開発した新品種は半分以下に落ちてしまっています。
種苗を買う側の農家を増やしてこそ、日本の地域の種苗産業も活路が開けます。地域の種苗育成を地方自治体を通じて支援して、地域の農産物を生かす方策こそが、何よりの解決策ではないでしょうか?
(新聞「農民」2020.10.26付)