新聞「農民」
「農民」記事データベース20201214-1437-11

いまこそ要求で広く農民と結びつき、
国民の期待に応えられる農民連を!

農政を国連「家族農業の10年」の
方向に転換させるチャンス!
(9/10)

農民連第24回定期大会議案
2020年12月3日 農民運動全国連合会常任委員会

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Z.農政を変え、生産と地域を支える農民連の建設を

 農業つぶし政治をいっそう推し進める菅政権のもとで、地域での生産を守る共同を組織し、農政の転換のためにたたかう農民連が、今ほど求められているときはありません。

1.前大会以降の組織づくりについて

(1)20年7月以降の拡大運動の到達

 20年7月に開いた常任委員会で「会員と新聞『農民』読者拡大運動」を呼びかけて以降、持続化給付金の申請支援を中心に千人を超える会員と千数百人の読者を拡大する画期的な前進を切り開き、前年度比、増勢で今大会を迎えています。この拡大運動で組織を倍加させた県連や単組、会員現勢を2けたから3けたに前進させた組織や3けたから4けたに復帰を果たした県連が生まれたことは特筆すべき前進でした。

 19年度に前年より会員登録を前進させたのは、北海道、山形、栃木、奈良、鳥取、徳島、香川、長崎、宮崎の9道県連、20年度は、青森、山形、福島、栃木、群馬、千葉、山梨、新潟、富山、福井、滋賀、京都、和歌山、鳥取、島根、山口、佐賀、宮崎の18府県連です。2年連続で前進したのは山形、栃木、鳥取、宮崎の4県連です。

(2)拡大運動で飛躍した組織の教訓

 拡大運動で飛躍を勝ち取った組織の教訓は(1)農民に渦巻く「切実な要求」を取り上げ、要求運動の先頭に立ったこと、(2)地域の農家に広く働きかけたこと(学習会などの呼びかけと大量宣伝)、(3)「農民連に入って一緒に要求実現」の立場を役員が貫いたこと、(4)大志をもった目標設定、空白克服に役員が執着して取り組んだこと、(5)組合員による紹介活動を重視したことなどです。

 持続化給付金による仲間づくりを一過性の運動にしないためにも、税金の自主申告、準産直、免税軽油やその他の要求でも、この教訓に学んで仲間づくり運動を前進させましょう。

 一方、持続化給付金の申請支援を広げても仲間づくりにつながらない組織も見られました。要求運動を「農家への世話焼き」にとどめず、切実な要求を農民連に加入して一緒に実現する立場を貫かなければ組織はつくれません。

2.地域で農家の多数派をめざし、生産と地域を支え、農政を変える組織をめざして

(1)農民連の組織の現状と地域での多数派をめざす大志ある目標

 20年センサスをもとにした都道府県連組織の到達点は、販売農家比で2%以上の組織は京都が11・3%、奈良6・5%、大阪5・8%、青森3・8%、福島3・2%、茨城2・8%、宮崎2・7%、和歌山2・5%、岩手2・3%、千葉2・3%、山形2・0%の11府県です。この35年間で販売農家戸数が331万戸(1985年)から104万戸(20年)へと7割も減少しているなかで、会員拡大の努力で基本的に組織を維持していることは重要です。

 しかし、農業就業人口の約7割が65歳以上となり、家族農業を排除する政策が推し進められているもとで離農が加速しており、その影響は農民連組織にも及んでいます。

 離農に歯止めをかけることは自給率を向上させる土台です。農政を転換する運動と結んで地域から運動を広げる強く大きな農民連の建設が求められています。

(2)農業の新しい「構造変化」に着目し、要求で働きかけよう

 経営規模の大小、専業・兼業を問わず、定年帰農者などもみんな農業の担い手であり、農民連が要求運動を呼びかけ、加入を働きかける対象です。

 いま最も大切なことは青年に要求で働きかけることです。新規就農者は、農地、農機具のあっせんや栽培技術、販路、税金の問題など農民連の取り組みと共通する切実な要求を持っています。声をかけ、実態を聞き、励ますことから始めましょう。全ての青年就農給付金受給者に働きかけましょう。

 集落営農や生産法人、大規模農家が米価への不安、販路確保、作業委託の集中による過重労働、税金や経営管理などの要求を募らせています。この方たちとの協力なしに地域農業は守れません。懇談して要求に耳を傾け、一緒に要求を実現しましょう。

(3)要求が団結の要、思想信条、政党支持の違いを乗り越えて

 農民連の原則は会員の政党支持と政治活動の自由を全面的に保障し、要求で団結し、力をあわせて要求実現のために奮闘することです。

 同時に、農業が歴代の自民党政治によって破壊・衰退させられ、今、さらなる亡国農政が吹き荒れているなかで、政治と一線を画して中立の立場でいるわけにはいきません。農民の要求が通る政治、日本の農業と農山村を再生する政治に転換するためにたたかいます。いま、多様な立場の農民が要求で団結し、力を合わせて要求を実現するためにがんばる農民連の出番です。

3.前進する農民連をいかに作るか

(1)要求運動に強い組織に

 (1)すべての都道府県連で「農家のためのなんでも相談会」を

 消費税増税・「軽減」税率、インボイス、青色申告、税務調査対策、米やものづくり、農業労災、免税軽油など、それぞれの単組が取り組んでいる課題、得意とする課題で地域の農家に働きかけ、会員を広げましょう。

 「なんでも勉強会(相談会)」を数多く開き、広く宣伝して農家を誘いましょう。会員に紹介活動を促し、会員のつながりを生かしましょう。

 (2)各都道府県連が「要求のしおり」を作成しよう

 春の仲間づくり大運動で、「要求のしおり」が力を発揮しています。「要求のしおり」は、農民連の要求運動をわかりやすく紹介し、要求で会員と農民連の結びつきを深め、会員が対象者を紹介する力になります。すでに作られている県のものを真似ることを含め、全ての県が「要求のしおり」を作成しましょう。

 (3)税金対策部員養成講座の取り組み

 17年以降、税金対策部員養成講座に取り組んできました。20年の養成講座は、コロナ禍でブロックごとの養成講座が開催されず、各県連・単組での講座が進められています。継続は力です。全ての都道府県連・単組で、養成講座に取り組みましょう。

(2)要求運動・仲間づくりを支える組織づくり

 全国の優れた経験や全国連の方針をそれぞれの地域にまで行き届かせるためには、都道府県連が全国の経験・方針を学び、各地域に具体化し、また各地域の経験から教訓を導き、全国に反映させることが必要です。また、都道府県連役員が話し合って方針を決めても、地域で具体化する単組がなければ実践は進みません。そのために以下の点を提起します。

 (1)全ての都道府県と単組に事務所と専従、単組の広域再編を

 事務所と専従者を配置してこそ組織です。会員拡大、会費の見直し、募金、事務所移転を含め、財政確立に努め、事務所と専従を配置しましょう。地域の点在会員を広域で組織し直し、地域で実践できる単組をつくる試みが始まっています。県連がイニシアチブを発揮し、組織再編を進めましょう。その際に、要求運動・仲間作り・運動と組織を支える会費のあり方をあいまいにせず、論議しましょう。

 (2)方針がすみずみまで行き届く組織に

 全国連は県連に、県連は単組に、単組は支部・班に入り、全国の経験・方針を伝えると同時に、地域の状況をつかみ全国に反映させる努力をしましょう。そのためにも、新聞「農民」を活用した会議の定着と、月例報告(役員会の開催状況、到達と計画など)を定着させましょう。

 (3)学習を力にした人づくり‥ブックレット、テキストの学習を

 組織の後継者確保は重要な課題です。当面の課題に追われがちですが、農民連の歴史や要求運動、政策などを幅広く学ぶ援助が必要です。ブロック会議や県連、単組で国連「家族農業の10年」の学習会が、新たな力になっています。ブックレットの読み合わせも含めて大小の学習会を開催し、学ぶ気風に満ちた農民連をめざしましょう。

 (4)加入しやすい、誘いやすい工夫を

 山形の「お試し会員」制度(1年間お試しで要求運動に参加し、継続する際は翌年から正会員)、奈良の「準会員」(直売所などの出荷で少額の場合、ある一定の水準を超えたら正会員)など入りやすく、誘いやすい対応などの工夫も必要です。

(3)リモート会議の経験、活用の方法を研究し活動に生かす

 新型コロナウイルスの感染防止のため集まることができず、全国的会議はリモート開催し、農水省要請でもリモートで地方から参加する工夫を行ってきました。さらにリモートの活用を定着させましょう。

(新聞「農民」2020.12.14付)
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