アグロエコロジー実践で
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ウンカに負けず実った米を刈る高橋さん |
昔からの方法を今風に取り込む
ウンカ被害の拡大を受けて、周りの農家も変わってきました。近くで慣行の米作りをしている友人が、「これからは有機栽培的な考え方を入れなければいけないな」と話しており、とてもうれしく思いました。化学肥料や農薬に頼らず植物の持つ力を生かす、昔からのやり方が、一番良いのではないでしょうか。それを今風にアレンジして取り込んでいくことが、必要なのだと思います。
資材投入に頼る農業の
あり方を見直す時期に
兵庫県たつの市 丸尾正志さん(53)
たつの市の沿岸部で水田1・6ヘクタールを耕作する兼業農家です。この地域でも、ウンカの被害は猛威を振るいました。ウンカの被害による倒伏や坪枯れが目立ち、一枚の半分くらいが枯れた田もありました。しかし無農薬、無化学肥料栽培の私の田んぼでは被害は全く出ませんでした。
窒素肥料の多投入がウンカの被害に関わっていると考えています。以前、硫安(硫酸アンモニウム)を反当たり40キログラム使用した時に、今まで起きなかった坪枯れが起きたことがありました。今は、箱剤も殺虫剤も一切使用していませんが、ウンカの被害とは無縁です。稲の株元を見ると、ウンカも若干いますが、被害は出ていません。農法を切り替えて反収は減りましたが、台風での倒伏もなく、安定して収穫できています。
丸尾さんのヒノヒカリの田んぼ。坪枯れのない見事な稲穂です |
稲自体を丈夫に
ウンカに負けない米作りのポイントは「稲自体を丈夫にすること」です。田植え時には疎植で、株間を30センチメートルにし、8条または12条ごとに条間も空けています。風通しや日当たりを良くし、ウンカが生息できない環境を作ります。稲刈り後の田んぼには乳酸菌資材などを入れて、土壌微生物を活性化します。
アグリビジネス思うつぼの稲作
現在の稲作は、収量を増やそうと苗を密植し、化学肥料を多投するから、虫が寄ってきて防除に農薬が必要になります。これでは農薬を作るアメリカのアグリビジネス企業の思うつぼです。種も肥料も農薬もセットにして支配されてしまいます。農業のあり方を見直す時期が来ているのではないでしょうか。
島根・松江市 加茂京子 |
(新聞「農民」2021.1.4付)