新聞「農民」
「農民」記事データベース20210802-1467-03

「北海道たねの会」講演会

2035年に飢餓が私たちの問題に

自給率 米11%、野菜4%、食肉3%…
鈴木宣弘東大教授が指摘


 7月16日、札幌市教育文化会館で、「北海道たねの会」主催の映画と講演の2021年度フェスが行われました。映画は「タネは誰のもの」、講演は「悪魔の食卓から天使の食卓へ」と題して、東京大学の鈴木宣弘教授が行いました。

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鈴木教授

 主催者あいさつで、たねの会代表の久田徳二さんは「種子がどんどん減ってきている。これは巨大バイオ企業による遺伝子組み換えなどによって減らされたもので、種子を守っていくことが重要だ」と指摘。ゲノム編集トマトの苗が家庭用に無料配布され、来年から市場に出回ることになりかねない事態に懸念を表明しました。

 鈴木教授の講演は、2035年までに飼料や種子の自給率を勘案すると、米の自給率は11%に落ち込み、最も高い牛乳・乳製品でも12%、野菜は4%、食肉は3%に落ち込むと述べ、「飢餓が私たちの問題になる可能性が高い」と訴えました。

 食の安全についても「輸入小麦を原料にした食品からグリホサートが検出され、アメリカではホルモンフリーが広がり、ホルモン牛肉のはけ口が日本になっている。合成ホルモンは国内では使用禁止なのに輸入は自由だ」と強調しました。

 米の問題では「米価が1万円を切る、それでも備蓄米は買わない、減反は強制、格差拡大で食べられない人に食べさせもしない。何もしない日本でいいのか」と問いかけました。

 古代麦の種子を輸入して作り続けている長沼町のレイモンド・レップさんは「古代麦を生産した場合、麦というより雑穀扱いになってしまうか心配だ」と話しました。

 札幌市北区の平野紀子さんは「不都合な事実が知らされていない。政治を変えなくちゃ私たちの命は守れないのですね」と感想を述べていました。

(新聞「農民」2021.8.2付)
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