新聞「農民」
「農民」記事データベース20211004-1475-01

米危機打開 オンライン中央行動

米問題が総選挙の一大争点に

600人が参加・視聴


「過剰米処理」「食料支援」
5野党がそろって訴え

 「政府は過剰米を買い上げろ!」「9000円では米は作れない! 政府は対策をとれ」の声が農水省前に響き渡り、千葉からはトラクターも出動しました。米危機打開中央行動が9月24日、農水省前と全国をオンラインで結んで開かれ、農水省前に約100人、オンライン、ユーチューブで500人以上が視聴し、約600人の参加で大成功を収めました。農民連が主催し、国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)が共催。NHKをはじめマスコミ各社も取材に詰めかけました。

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農水省前でのぼり旗が林立し横断幕を掲げて声をあげる参加者

 自公政権では打開できず

 集会に先立って、農水大臣要請が行われ、農民連の長谷川敏郎会長をはじめ、5人の要請団が参加し、日本共産党の紙智子参院議員(党農林・漁民局長)が同席。野上浩太郎大臣あての「コロナ禍による米危機の改善を求める要請書」を手渡し、「政府は暴落対策をとれ」「コロナで過剰になった米を買い上げて食料支援に回せ」「ミニマムアクセス米の輸入を削減・中止せよ」と訴えました。農水省からは、熊野正士政務官(公明党)が応対しました。

 農水省前集会では、主催者あいさつをした長谷川会長が「大臣要請で、熊野政務官は『現時点では備蓄米での買い上げはできない』と要請を拒否した。国民の食料に責任を果たすという政治の基本を投げ捨てた安倍・菅=自・公農政の姿を改めて思い知らされた」と報告。この間、農民連は全国で新聞「農民」号外50万枚の配布、トラクター・軽トラパレード、農協訪問、自治体への請願・陳情などに取り組み、運動を広げた結果、北海道・東北6県の農協中央会会長が連名で政府に下落対策をとるよう要請するなど世論を大きく動かしてきたことを紹介し、「米問題は総選挙の一大争点になった」と述べました。

 さらに、野党各党に「米価暴落対策、米の需給に政府が責任をもつ、戸別所得補償の復活、食料支援制度の実現など一致する課題で共通農業政策を国民に示してほしい」と呼びかけ、「今日の集会を日本の食と農を野党連合政権で立て直すためのキックオフ集会にしよう」と訴えました。

 総選挙で決着させよう

 5野党からそろってあいさつがありました。農水省前には日本共産党の志位和夫委員長がかけつけました。志位委員長は、「米価暴落は菅政権による人災だ」と指摘。「今やるべきなのは政府が過剰米を買い上げ、暴落を止め、生活に困っている人々に回すこと。米危機打開、農業再生のために党派を超えて力を合わせよう」と呼びかけました。

 3氏がリモートであいさつ。立憲民主党の田名部匡代参院議員(党農林水産部会長)は、党として(1)過剰米の買い入れ(2)子ども食堂や困窮者への支援、(3)戸別所得補償の復活などを盛り込んだ緊急要望を発表したことを述べ、「農業問題は政権与党に任せるわけにはいかない。共通する課題で野党と連携していきたい」と語りました。

 国民民主党の舟山康江参院議員(党政務調査会長)は、「いまの米価大暴落の原因は、国が需給調整を放棄し、現場に丸投げしたことにある」と批判。「過剰米を隔離し、食料支援に回すことに取り組むべきだ」と述べ、食料自給率50%の実現、戸別所得補償の復活などを訴えていく決意を述べました。

 れいわ新選組の舩後靖彦参院議員は、「過剰米を買い取り、困窮者や学生のために活用するというのはその通り。外国では当たり前の食料支援の充実を」と訴えました。

 社民党の福島瑞穂党首・参院議員からは「過剰米在庫を政府が買い上げ、コロナ禍で影響を受けた生活困窮者、学生などへの支援に。戸別所得補償の拡充を」とのメッセージが寄せられ、代読されました。

 宇都宮弁護士、主婦連など連帯

 ゲストからのスピーチでは、反貧困ネットワーク代表で弁護士の宇都宮健児さんがかけつけ、これまでの農民連からの食料支援に感謝の言葉が述べられるとともに、「余っている米を生活に困っている人々に配布するのが政治の役割。食料支援は農家の支援にもつながる」と訴えました。

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訴える宇都宮弁護士

 連帯あいさつでは、日米連(日本米穀商連合会)の相川英一専務理事が「米の価格が下がると米穀店も利益が減ることになる。生産者の意欲がなくなることも心配している。米生産ができる米政策の実現を」と述べました。

 主婦連合会の河村真紀子会長は、女性の間にも生活困窮が広がっている実態を紹介し、「食料支援はすぐに実行に移すべきだ」と語りました。

 全国商工団体連合会(全商連)の太田義郎会長は、「農業は地域経済の大きな柱。輸入米を中止し、再生産できる米の価格を」と訴えました。

 また、集会には、全国労働組合総連合、新日本婦人の会、全日本民主医療機関連合会、日本民主青年同盟からメッセージが寄せられました。

 怒りのスピーチ 農家から続々

 怒りのスピーチでは、全農協労連の信川幸之助副委員長、宮城農民連の鈴木弥弘事務局長、千葉県農民連の小倉毅副会長、北海道農民連の富沢修一書記長(リモート)、新潟県農民連の鶴巻純一会長(リモート)から、各地の米概算金下落の状況と作柄、農協への影響、危機打開への願いが語られました。

 農民連の吉川利明事務局長が閉会あいさつ。「今日の集会で5野党の代表がそろって『国による過剰米の隔離』『食料支援』を掲げたことは、全国の運動が生み出した成果。熊野政務官の発言からも、自・公政権では米危機打開ができないことがはっきりした。来る総選挙で、『野党連合政権の実現で米危機の打開を』の大波を農村から巻き起こそう」と呼びかけました。

 最後に、参加者は「国は主食に責任をもて」「輸入米はやめろ」「政府は過剰米を買い上げろ」「食料支援に回せ」とコールを響かせました。

 集会後、参加者は、衆参農水委員に米危機打開を要請しました。

(新聞「農民」2021.10.4付)
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