新聞「農民」
「農民」記事データベース20211025-1478-01

衆議院選挙

農家をバカにするな!自公政権
まやかしの「特別枠」なんかにだまされない!

争点は米危機打開
自公 VS 野党共闘


市場隔離で暴落にストップを!!

 岸田首相、過剰米の「市場隔離」を拒否

 岸田首相は10月13日の国会答弁で、「政府備蓄米を需給操作のために運用することは、制度の趣旨に沿わない」と市場隔離を強く拒否しました。一方で自民党・甘利幹事長には「20年産米15万トンの特別枠で支援する」と答弁し、あたかも市場隔離を行い、米価対策をとるかのような報道がされています。これは選挙向けのまやかしです。

 「特別枠」は11月から「米穀周年供給・需要拡大支援事業」で販売予定の20年産米37万トンのうち15万トンを来年11月以降に先送りし、保管料等の全額補助や、子ども食堂等の生活弱者への支援を行うなどとしています。

 しかし、10月末には60万トンにも及ぶ20年産米在庫が存在するもとで、先送りするだけでは1年後に市場へ「古古米」になってくず米並みの価格で流通することになります。

 31日の投票日まで農家と国民をだまし、あとは、米価暴落の責任は生産者にあるとばかりに、22年産米の「減反」拡大が押し付けられることは火を見るより明らかです。

 過剰米を「先送り」し、さらに減反拡大

 21年産は全国作況100、予想収穫量700万トン。これに20年産米在庫60万トンを含めて来年の需要見込みは704万トン、供給量見込みは764万トンです。764万トンに対しわずか15万トンの先送りでは「焼け石に水」にもならず、現実の価格と需給になんの影響も与えません。

 そもそも「米穀周年供給事業」は、一定の供給量を翌年の11月以降まで販売を先送りし、期間限定の売り急ぎ防止効果で米価下落を抑制することが目的であり、今年のような過剰・暴落に対応できるものではありません。同時に、先送りした古米在庫による翌年の供給過剰を避けるため、「減反」拡大がセットです。

 子ども食堂には「古米提供」

 15万トンの特別枠で子ども食堂などに提供するとの中身は、麺類を米飯に置き換えた場合などに助成するだけの微々たるもので、年間1000トン程度。子ども食堂や生活困難者を本気で支援するものではありません。また、長期保管後の提供では、生活弱者は「古古米」を食えと言うようなものです。新米を届けてこそ、生活困難者への温かい支援、コロナ禍からの復興の力になります。

 一方で、中食・外食向けには、たとえ「古古米」であっても、外国米よりも安い米供給が約束され、業務用米の価格下落圧力になります。

選挙に行って農政を変えよう

 責任逃れの自公 共同強める野党

 食糧法の目的は「主要食糧の需給及び価格の安定を図」ることです。

 自公政権が需給操作や価格の下支えにつながる運用はできないとして備蓄米の追加買い入れを拒否するのは勝手な解釈です。

 コロナ禍による過剰・米価暴落対策の決め手は、21年産米を政府が備蓄米として買い上げて市場隔離し、20年産米の「周年供給事業」分も政府備蓄に回すことです。備蓄米を食料支援に充てるとともに、古古米は飼料用に回せば済むことです。

 だからこそ、9・24米危機打開全国集会で立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社民党、れいわ新選組の野党5党が、国の責任による過剰米の買い入れ、食料支援制度創設で一致し、共同することを表明しました。

 農家に責任を押し付け、ゴマカシまでして米危機から責任逃れする自公政権か、それとも国民の主食の安定確保と農家が安心して米作りができる野党連合政権か、いまきびしく問われています。

(新聞「農民」2021.10.25付)
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