新聞「農民」
「農民」記事データベース20211101-1479-05

そりゃ、あんまりだ!甘利幹事長

「疑惑にフタ」する岸田政権


 建設会社に依頼され、口利きの見返りにワイロを受け取って2016年に閣僚辞任に追い込まれた甘利明氏が自民党幹事長に復権し、岸田政権を牛耳っています。

 TPP交渉の真っ最中にワイロ集め

 甘利氏がTPP(環太平洋連携協定)担当大臣を務めていた2013年から14年にかけて、独立行政法人・都市再生機構(UR)と千葉県の建設会社の道路用地買収トラブルをめぐって公設秘書らが交渉に介入。2億2000万円の補償金を手に入れた業者から見返りに総額1200万円もの現金供与と接待を受けていました(16年1月21日発売の『週刊文春』が報道)。

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『週刊文春』16年1月21日

 甘利氏は幹事長就任後の記者会見で「秘書がやったこと。寝耳に水だった」とシラを切りましたが、当時、大臣室などで計100万円を本人が受け取ったことを認めて辞任。会見では「調査を進め、後で公表する」と明言していました。しかし、調査結果は一切公表しないまま現在に至っています。

 しかも、献金疑惑は「売国の協定」TPP交渉が重大な局面を迎えていた時期に集中していました。秘書が最初に献金を受け取った13年8月は、甘利氏が初めてTPP閣僚会合に出席した時期。甘利氏本人が金を受け取った13年11月と14年2月は、日米間の密室談合が大詰めを迎えていた時期です。

 甘利氏は辞任会見で「TPP交渉に全身全霊で取り組んできた」とのべましたが、金集めとTPP譲歩に「全身全霊」を傾けたというのが実相です。

 ワイロもらい放題の「自由」なのか

 また、甘利氏は「総選挙は自由と民主主義か、共産主義が入ってくる政権かの政権選択だ」と、野党共闘に対する敵意をむき出しにしています。「絵に描いたようなあっせん利得」(郷原信郎・元東京地検特捜部検事)という大スキャンダルを「寝耳に水」と空とぼける甘利氏にとって、「自由」とは“ワイロもらい放題の自由”なのかと言わざるをえません。

 疑惑にフタの姿勢変わらない

 10月には立憲、共産、国民の野党3党が調査結果の公表を求めましたが、甘利氏は拒否しています。

 こういう人物が自民党幹事長になり、国民の血税である政党助成金を配分する絶大な権限を握るのは、“泥棒に金庫番”を任せるようなもの。岸田首相は「説明責任のあり方は政治家自ら判断すべき」と他人事を決め込んでいますが、無責任きわまりません。

 安倍・菅政権で怒りを買ったのは続発した疑惑隠しです。

 岸田首相は「信なくば立たず」と繰り返しています。しかし、▼国有地が破格の安値で払い下げられ、公文書の隠蔽(いんぺい)や改ざんが行われた「森友学園」疑惑でも、▼安倍元首相が政治を私物化した「桜を見る会」前夜祭事件でも、▼有罪が確定した河井元法相の大型買収事件をめぐる党本部からの1・5億円の資金提供でも、岸田首相は再調査を拒否し続けています。

 甘利氏のほかにも、検察の家宅捜索前に事務所のパソコンを壊して政治資金規正法違反事件の証拠隠滅をはかっていた小渕優子氏が党の要職に就くなど、岸田政権は悪臭プンプンです。岸田氏も、政界屈指の1億3265万円ものパーティー収入をかき集めています。(19年)

 「説明しない政治」「信のない政治」を継承する岸田氏の姿勢は重大です。

 野党の共通政策は「権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する」を柱の一つにして、真相究明を行うことを明記しています。

 腐った政治の中身を変えるには、政権交代を実現するしかありません。

(新聞「農民」2021.11.1付)
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