新聞「農民」
「農民」記事データベース20211206-1484-02

15万トン
市場隔離は複数年継続

農民連の主張が反映


実質的な民間備蓄に

 コロナ禍による「過剰在庫」の市場隔離、食料支援の強化、ミニマム・アクセス米の輸入停止、「15万トン特別枠」隔離効果の検証の4項目を求めて農水省要請が行われました。

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現場からの切迫した訴えが相次いだ農水省交渉

 要請には、北海道、青森、岩手、宮城、茨城、千葉、埼玉、長野の各農民連からの参加者と食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)の仲間、さらにオンラインで全国から100人以上が参加しました。

 農水省の担当者は、市場隔離要求に対して、「15万トン特別枠」は保管2年目以降も市場に出回ることはなく、「隔離効果」は複数年にわたることを明言しました。当初の22年出来秋に市場に出回らせる計画からは大きな転換です。

 補正予算での実施となることから、毎年の予算獲得が必要となるものの、事実上の「民間備蓄」として市場隔離が行われることになります。

 これまで、市場隔離要求を一貫して拒否し続けていた立場から転換したことは明らかで、農民連の要求の正当性が証明された瞬間です。

 しかし、10月末で60万トン以上の民間在庫があり、来年10月末までに販売しきれる数量ではなく、さらなる市場隔離が必要です。

 農民連とふるさとネットワークは昨年来、米価下落阻止、食料支援制度の創設などのたたかいを全国で展開してきました。

 9・24米危機打開集会では、参加した立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組の野党5党の共通政策に高め、総選挙を野党統一でたたかった選挙区で、与党候補を打ち破ったのは、たたかいの成果です。

 しかし、15万トンでは米価下落阻止効果には全く不十分です。引き続き需給状況を機敏に反映した市場隔離対策を要求するとともに、各地で進んでいる自治体独自の農家支援対策を議会請願や自治体交渉で広げましょう。

 農水省担当者の「需要に応じた生産が必要」との説明に、会場から「農家は21年産を6・7万ヘクタール、36万トンもの史上最大の減反をやった。過剰の原因はコロナ禍、政府は責任を果たさずさらに20万トンを超える減反を押し付けるのか」と厳しい意見が続出しました。

(新聞「農民」2021.12.6付)
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