新聞「農民」
「農民」記事データベース20220606-1507-11

発見
農の現場から

京都府農民連会長 上柿直一


消費者と生産者が
知恵を出し合い農業振興を

綾部市
盆地に囲まれた平地 水利条件良し

 今年の府大会で会長を引き受け

 私は今年2月20日に行われた京都府農民連の定期大会で会長に選出されました。全国農民連の長谷川敏郎会長の出身地でもある綾部市の農民組合の会員でもあります。ロシアによるウクライナ侵略やコロナ禍等で大変なとき、このような大役を引き受けたことに身が縮む思いでいます。

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自宅のハウスの前の上柿会長

 わが家は米栽培と蚕の飼育を

 私は綾部市農協(京都丹の国農協に合併)勤務を経て綾部市議会議員として、また綾部市農業委員として、主に農業問題に力を入れて活動してきました。京都府連としては関西電力の高圧線下補償のとりくみで地権者の権利・財産を守る運動を行ってきました。

 私の住む綾部市は京都府のほぼ真ん中に位置し、福井県若狭地方と兵庫県但馬地方への分岐点にあり、靴下やメリヤスの郡是(グンゼ)製糸で知られた養蚕の町で栄えた地域です。

 私の家も米と養蚕農家で蚕の飼育を高校生のときまで手伝っていました。昭和30年代には人口5万人を数えましたが、現在は3万人に減少しています。

 綾部市以北の舞鶴市、福知山市、京丹後市、宮津市等も高齢化と過疎化が進み、大きな問題となっています。

高齢化と過疎化が進む
耕作放棄地を元に戻す

 水路がズタズタ 鳥獣害の脅威も

 74歳の私は綾部駅から徒歩で10分という地で水稲6反(60アール)、畑作(野菜・大豆等)3反、ユズ畑1反を妻と2人で耕作しています。一級河川の由良川流域に位置し、福知山盆地に囲まれた平地の水利条件の良い土地ですが、ここ10年くらい前から耕作放棄地が虫食い状態に広がってきています。

 また熊や鹿が出没するようになってきました。市街地の端にあるわが家周囲もこのありさまですから、山間部になると耕作放棄地の拡大で池からの水路がズタズタになったり、鳥獣害(熊・イノシシ・鹿・猿等)の脅威にさらされています。

 里山も田も畑も手入れを怠れば

 京都府は北は日本海を臨み、南は大阪府・奈良県にも近く都市化されています。南の大都会・京都市へと、北の海の幸が送られています。都市の消費者と連携を図りつつ、新日本婦人の会との産直運動を前進させていきたいと思っています。

 里山も田も畑も手入れを怠れば、たちまち山に飲み込まれていきます。一度耕作放棄した農地を元に戻すには、3年から5年かかると言われています。食料危機が迫る中、消費者と生産者が共に知恵を出し合っていけるよう、その一端を担っていきたいです。

(新聞「農民」2022.6.6付)
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