新聞「農民」
「農民」記事データベース20221114-1529-06

ストップ! 押しつけ輸入米
(ミニマム・アクセス米)
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国民に不必要、国内米生産の邪魔、税金ムダづかい

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 国民にとって不必要、国内米生産の邪魔、税金ムダづかい――「3点セット」のミニマム・アクセス米(MA米)輸入をストップさせることが、いま緊急の課題になっています。
 農家に米価暴落を押しつけながら、国産米よりはるかに高く、需要もないアメリカ産米を輸入し続ける政府を告発し、国民的な共同で税金のムダづかい、MA米輸入をストップし、食料危機打開をめざしましょう。


アメリカ米1.4万円、
国産米9千円の1.5倍

 MA米の契約から約1カ月後に契約価格(落札価格)が公表されます。公表された9月16日入札のアメリカうるち精米中粒種の契約価格は、1トン当たり25万4千円、60キロ玄米に換算すると1万3716円で、国産米を大幅に上回りました((1)(2))。

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 一方、大暴落した21年産国産米の相対取引価格(全銘柄平均)は1万1884円(税抜き価格)で、アメリカ産米は国産米の1・15倍に相当します。また、特に下落幅の大きかった千葉「ふさこがね」は9446円、青森「まっしぐら」は9969円。アメリカ産米は約1・5倍です。

 しかも、毎年MA米として輸入している77万トンのうち、アメリカの「取り分」は判で押したように半分の36万トン((3))。「義務」でもないMA米輸入を押しつけられ、アメリカの権益を後生大事に守り続けているのが日本政府です。

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“過剰”なのはMA米
それでも無理やり輸入

いったいどこの国の政府?

 しかも、21年度の最終入札ではアメリカ米が見放されて2回連続で応札ゼロが続いたことから、最後はタイ米に切り替えてMA米77万トン輸入を無理やり達成しました。

 今年9月の入札でも、タイ長粒米4万トンとともに、主食用では見向きもされなくなっているアメリカ中粒米1万3千トンが落札されました。

 輸入商社も応札しなかったアメリカ米を、何が何でも輸入するために異常な予定価格を設定して、商社に無理を承知で調達させたものと思わざるを得ません。

 要するに、(1)国内の米農家には「過剰」解消は自己責任とばかりに、低米価と生産調整を押し付け、(2)本当に「過剰」なMA米には1粒たりとも手をつけず、新潟コシヒカリ並みのアメリカ米を買い支えて輸入を続ける、(3)高値輸入と販売価格の差額は日本国民の税金でまかなう――。

 いったい、どこの国の政府なのか、どこまで農家と国民を馬鹿にするのか! どうしてもMA米輸入を中止させなければなりません。


過去最悪の干ばつ
アメリカ米は大暴騰

 ジェトロ(日本貿易振興機構)、農水省の調査では、アメリカ国内でのカリフォルニア米小売価格が19年から22年にかけて1・5倍に高騰しています。円に換算すると5キロ3600円、1俵60キロだと4万円です!

 現地で販売されている日本産米とアメリカ米との価格差もほとんどなくなっています。

 アメリカ米の価格高騰の要因は、主産地・カリフォルニア州が過去最悪の干ばつに襲われ、中粒種米の作付面積が減っていることと、2年連続して10%以上収穫量が減少していることです。

 22年のアメリカの中・短粒種の生産量は1988年以来最低の190万トンとされており、輸出余力は確実に小さくなっています。

 主食用に輸入されてきたアメリカ産中粒種が2回連続で応札そのものがなかったのは、その結果です。

 日本への輸出がアメリカでの価格高騰の要因でもあります。日米両国民のためにもMA米輸入をやめるべきです。


【訂正】 12月5日号にて、以下の訂正がありました。
 「農民」2022年11月14日号の誤表記についてお詫びし、訂正記事を再掲します。
 2022年12月12日、訂正しました。

(新聞「農民」2022.11.14付)
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