「すずき産地」の八細工七貧乏北茨城市から 鈴木孝夫
「父が死んで田んぼができない…」友の頼み断わり切れず耕作引き受けたけど――家族に「実は…」と先日、出先から戻るなり家族にこう切り出しました。「お詫びしたいことがある。申し訳ないが了承してほしい」。どんな不始末をしでかしたかと固唾(かたず)を飲むカミさん(康子さん)とオフクロ。いったい何なのかと…。実は、知り合いの息子さんに田んぼの耕作を頼まれて断りきれず、作付面積がまた広がることになってしまったのです。 その親父さんというのが、父と同級生。親子ほどにも年齢が離れていたのですが、百姓一筋にきた方で、いろいろな話を聞かせてもらい、また聞いてもらっていました。この方が、正月明けに亡くなり、息子さんは勤めで忙しく、田んぼを作る人がいません。丹精した田んぼを、私の粗放なやり方で引き継ぐのは心苦しいと固辞したものの、結局引き受けることになりました。
手が回るか心配新しく増える面積は八十五アールほど。これを合わせると四ヘクタール近くになります。そのうち、完全無農薬栽培も、昨年(一・三ヘクタール)よりは増やしたいと思っていますが、手が回るかどうか…。こうした事例は全国で広がっているはず。そして、わが国の食料自給率は三九%。農家も、消費者も、ともに食わなきゃ腹が減る生き物として、荒れゆく農地を真剣に心配すべきじゃないでしょうか。どなたか少しでも稲作をやってみたいという方、北茨城まで通ってみませんか? 今日は、今年の味噌を仕込みました。麹(こうじ)から自家製です。 豆を煮るための大釜です。ドラム缶を半分に切って、それぞれ釜とカマドにしています。 大釜で煮てすりつぶした大豆と、麹と塩をよく混ぜ合わせて、最低一年ねかせて手前味噌の完成。 (つづく)
(新聞「農民」2000.3.20付)
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[2000年3月]
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