WTO協定の抜本改定を関東農政局の「聞く会」で農民連が強く主張
「WTO協定は、日本にとって比較的有利なところにおさまっている」――六月八日、関東農政局が開いた「WTO農業交渉に関する意見を聞く会」で、石原葵経済局長はこう述べました。農水省の立場は、「輸入しながら減反は許せない!」との農家の思いと、あまりにもかけ離れています。 農水省は五月に「WTO農業交渉の課題と論点」と題する資料をつくり、全国九カ所(地方農政局及び北海道、沖縄)で意見交換会を開くとしています。関東農政局は、その一回目。しかし実態は、ミニマムアクセス米の廃止は提案しない、WTO協定の枠組みは基本的に維持するという弱腰の弁明の場です。 一方で、農水省が、こうした会を催したのは、あのシアトル閣僚会議決裂の影響から。二月のWTO一般理事会でも、(1)透明性の確保、(2)加盟国(とくに途上国)からの信頼、(3)市民社会(とくにNGO)からの信頼、が議論になったといいます。 「意見を聞く会」で、松本慎一・農民連常任委員は、輸入によって価格が暴落している農家の窮状を具体的に示し、「WTO協定の抜本的な改定を提案すべき」と主張。生協関係者からも、遺伝子組み換え食品の表示や食品の安全性の問題とともに、「その前提として、できるだけ国内で自給すべき」といった意見も出されました。 農水省はこうした声を真摯に受け止め、二〇〇〇年末に提出する提案に反映すべきです。
「食と農を語る府民の集い」で藤田スミ前衆院議員が訴え/大阪「全国の農村を回りましたが、今でも心に残っているのは、農産物の輸入自由化を阻止できず、農家に自殺者まで出したことです」―藤田スミさんは絶句し、何回も涙をふきました。参加者のなかに涙を流す人も。これは「衆議院農林水産委員・藤田スミさんを迎えて『食と農を語る』府民の集い」でのひとこま。同集いは六月十日、農民組合大阪府連の開催呼びかけに元府農業会議会長の道工太刀雄氏など各界十人の「呼びかけ人」が賛同。その呼びかけで国労大阪会館に百十人が参加して開かれました。藤田さんは食料自給率が四〇%まで下がっていることを強調、二十一年を振り返り「自民党政治では食料・農業問題の解決はできない。流れを変えなければ。選挙はその機会です」と強く訴えました。 集いは、さらに労連、生協、伝統食を考える会、農業会議、全税関、新婦人など各界代表の発言が続き、会場からの発言も受け、最後にアピール「不安いっぱいの農業・食料情勢を生産者、消費者、労働者、市民の共同の力で切り開こう」を大きな拍手で確認し、閉会しました。食と農にかかわる市民団体が一堂に会し、たたかいの前進を誓い合ったのは久しぶりのことです。
(Y)
自給率向上、中山間地保障を広島・三次農協総代会が決議広島・三次農協の通常総代会が六月十六日に開かれ、「輸入優先をやめ、食料自給率の向上を政府の義務とすること、中山間地に対する所得保障の拡大充実など求める決議」を全会一致で採択しました。決議案の提案は総代の西田隆氏。決議では、政府の発表した自給率を十年後に四五%、最終的に五〇%の目標は、その裏付けの政策がまったくなく、また、自給率を低下させ、家族農業を切り捨て、日本農業をここまで破たんさせたことへの反省はないと指摘、次の六項目を政府と関係機関に強く要求しています。 (1)自給率低下の原因を消費者や農家の責任にすりかえず、「農畜産物の輸入優先をやめ、食料自給率向上を政府の義務とすること」を明確に位置づける、(2)今年の生産者米価を一俵二万円以上に引き上げる、(3)「セーフガード」を発動する、(4)中山間地に対する所得保障を拡大充実する、(5)すべての食品に原産地や遺伝子組み換え表示義務づけを明記する、(6)WTO協定の抜本的改定を提起する。 (広島県連 大坪 求)
(新聞「農民」2000.6.26付)
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[2000年6月]
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